『どろろ』第二部の話

どろろ
手塚治虫の作品。現在は全四巻の単行本形態・または全三巻の文庫本形態で読むことができる(愛蔵版などもある)。
現行版は、連載の時期によって二種類に分けることができる。
最初に少年サンデーに連載された分(1967~68)は、現行版と設定はほぼ同じ。
その後、テレビアニメ化に伴い、冒険王に「第二部」が発表される(1969)。第一部との大きな差異は、
・アニメ版と同様、マスコットキャラの「ノタ」が登場(もともとはみおの飼い犬だが、百鬼丸を経てどろろになつく)
百鬼丸の旅の目的が、「どろろを殺すこと」。つまり、彼には、「おまえから奪われた体は別の人間として生きているので、どろろという名の子供を殺せば体は取り戻せる」という情報が与えられている。

テレビアニメの終了に伴い連載も終了、単行本化に際しては第一部と第二部を混ぜた形で完全版とした。その際、設定は第一部に合わせられ、ノタは消去された。
なお第二部でも、導入部、百鬼丸の過去編から万代のあたりまでは話が重複しているが、原稿は新たに描きおろされた。現行版ではおそらく、第一部と第二部が切り張りされていると思われる(手塚治虫の得意技=自分の原稿改竄しまくり)。

第二部は現在、わかっている限りでは、国立国会図書館に直接行くか、コピーを取り寄せるしか、確実に読む方法はない(あるいは気長に掲載誌を探すしかない)。
しかし残念ながら、国立国会図書館の冒険王は、連載第一回のカラーページが心ないファンによって切り取られてしまっているよし。
また個人的な記憶では、一部が別冊付録の形になっていたため、国立国会図書館でも最初から保存していない部分があったと思う。
ちなみに数年前のPS2のゲーム発売時、冒険王版の一部の復刻版が初回限定版の付録とされたので、現在はこちらの方が手に入れやすいかもしれない。


以下、個人的な妄想で恐縮だが。
第二部の醍醐味は、無論目的のために殺さねばならないはずの相手の無邪気さに感化され、苦悩する百鬼丸にあるわけだが、このあたりを考察すると少々面白いことに気づく。
第二部で、妖怪万代を殺して体が戻った百鬼丸は、どろろを殺すことを諦め、地道な妖怪退治を決意するのだが、そのときどろろの体に異変は起きていない。どろろ百鬼丸の体ならば、百鬼丸に体が戻るたびに、どろろの方が欠けてもおかしくはないはずだ。
そもそも百鬼丸が「どろろという子供を殺せ」という情報を得たのは、どこからともなく聞こえる声、という頼りないことこの上ないソースである。
つまりそれは妖怪側の罠である可能性が否定できない。
想像をたくましくすれば、百鬼丸どろろを殺させることに意味がある、という展開になった可能性もあるのではなかろうか。
つまり裏を返せば、百鬼丸どろろが並び立つことこそが、妖怪たちの最も恐れることであった、のかもしれない。

以上、私のどろろ第二部萌えを好き勝手に語らせていただきました。


付録・現在でも入手可能と思われるおいしいどろろ
・小説「どろろ」(復刻版)辻真先著、朝日ソノラマ
作者がオチを知らずに書いたので、どろろちゃんの正体が(笑)
多宝丸と百鬼丸のラブラブな兄弟シーンあり。
映画公開に併せて復刻。
・「どろろ鳥海尽三著、学習研究社
百鬼丸エスパー扱い、どろろそげキング
・「どろろNAKA雅MURA著、朝日新聞社
映画ノベライズ。誰もが気になるアニキの局部についての記述あり。
・「どろろ梵」道家大輔作、秋田書店
アニキ女体化、どろろ妖怪化、うんこ頭の小娘(作中の形容による)参入。過去編は萌ゆる。