夢の夢──翌檜サラダ──(チビナス×サラダ)

【IF──もしも、】


天使が降りてきたのを見た。
太陽の光を背負って、おれを見下ろす天使は、レディの姿をしていて。
にっかり、と笑って言った。
「おまえはいいコックだから、私と一緒に海賊しよう?」




……あれ?
なんでおれ、こんなことを思い出してるんだろう……?
ここ、どこだ?
おれは、どうしたんだっけ?

……ああ、そうだ。
ナミさんが、ひどい熱を出して。
ルフィがナミさんをおぶって、雪慣れしたおれが護衛をして、医者がいる山に登るはずだったんだ。
ガキだからってバカにすんな。温暖な東で生まれ育った連中とは、つくりが違う。北で生まれ、数年前まで北にいたおれは、雪の声を聞くのに慣れている。
だから、いち早く気づいた。……雪の砕ける音に。

──逃げるぞルフィ、どこまでもだ!
──一にナミさん、二にナミさん、三にナミさんだ!
──……レディたちは、ソフトに扱わないとな!

ルフィ。
ルフィなら──きっと大丈夫。
流れてきた雪から、どうすれば逃げられるのかはちゃんと教えた。……教えたおれが逃げきれず、雪に捕まっちまったのは……不覚、だけど。

ルフィ。
北の海からきたおれを、海上レストランから連れ出して海賊にした、おれの天使。
おれより九歳も年上のくせに、かわいくて、バカで、食いしん坊で、口が悪くて、ゴムで、乱暴で、おっぱいが大きくて、強くて、やわらかくて、サラダばっかり好きで、……そしていつか海賊王になる、おれの天使。
おまえがおれの前に降ってきたそのときから、おれの世界はおまえだけのために動いてる。
だから──もしおれがこのまま雪に埋もれて死んでも、泣いたりするこたァねェ……よ。

できればもういっぺん、あの太陽みたいな笑顔が見られたら。
……そうしたらきっと、おれは死ぬほど幸せだろうけど。
でも、そんなもん見せてくれなくてもいい。
ナミさんをちゃんと助けて、おまえも怪我とか治して、そして海賊王になればいい。

そんときに、おれの作るサラダを食べたいと思ってくれれば。
もう、それでいい。
──おれの、おれだけの、導きの天使。


(……サクサクと、雪を踏み分ける足音が近づく)



【彼が十年遅刻して、彼が彼女だったなら。】

☆☆

お題
ショタサンル

ナスサラダへのお題
だから、しよ?
死にそうに幸せ
一目見た時から俺の世界は君だけだった



あまりナスらしさがなくてすまん…