笑(ゾロ誕/ゾロ、ミホーク)

「……おかしなことを訊くのだな」

鷹の目は、その名の通り、猛禽のような目を僅かに眇めた。

「それが重要なことか?」

「ああ。──少なくとも、おれ『達』には、な」

「……」

あえて含みを持たせた答えに、鷹の目は少しの間口を閉ざして、それから少しだけ、笑みを含んだ。

「そういえば──昔、いたな、そういう男が」

「おい、おれは昔話なんか聞いちゃ……」

「急くな。……そう、だな。確かにそれは──おまえ達の船長に……ひいては、おまえ達全員に関わるのだろうな」

かの頂上戦争を報じる記事は連日新聞を飾る、けれどもそこには、おれの知りたい情報はない。

知る術がもしもあるとするのなら、……それはこの、ルフィと同じ戦場に立った男しかあり得ない。

「……昔、おれがまだおまえくらいだった頃に──見た。その男は笑った。その最期の息吹は、世界を嵐に叩き込んだ」

「……」

「安心しろ。……おまえの船長が看取った男も、笑っていた。……父親と同様にな」

「……そう、か」

一度だけ、邂逅した。

今もあのときの、全身に鳥肌が立つような感覚を覚えている。

海賊狩りの本能が叫んだ──これは、手を出してはならない、聖なる獲物。

大海賊時代の王の遺児。

ルフィが目指すその座に、恐らくはひどく近しかった男。

その男が笑ったのならば──それはきっと、正しい死に場所。

ルフィの、おれ達の海賊王を、歪めることなく、先へと導く死。

「すまねェ、鷹の目」

ぶっきらぼうに礼を述べると、鷹の目は無言のまま表情を消し、広げたままの新聞に目を落とした。

☆☆

ゾロ、誕生日おめでとう!

今年のバースデーシリーズのキャラはエース。

(メモ)

拍手ありがとうございました!

飢餓(サンルパラレル、ウサギルフィネタ)/はぴば

しばらく留守にせざるを得ない、とわかったとき、まず用意したのは食い物だった。

おれは「ウサギ」を飼っている。正確には、保護している。

金持ちどもが愛玩用に、人間のDNAをどーとかしたとかいう、奇妙で悪趣味で高価な生き物。未成熟な少年の体に、ウサギに酷似した白い綿毛の耳と尻尾。頬にはなぜか、古い傷跡。

おれのような貧乏料理人になど縁がないはずのそいつを路地裏で拾ったのは、数ヶ月前。

「サンジ、サンジ、肉寄越せ」

少なくとも幼児並みの知能と発声器官を備えたそいつは──よく喰った。あらゆる意味で。

しかもウサギのくせに、肉を好むときていやがる。

ところ構わずズボンを下ろされかけるのには閉口したが、追い出そうという気にもなれなかった。

こいつは愛玩動物で、そう作られてる。……当たり前のことだ。こいつが悪いわけじゃねェ。

そう、そう作られてる──こいつのもたらす快楽は、まるで麻薬のようだ。

少し留守にする、飯はここに置くから。

言い聞かせたのは、三日前。

……可能な限り早く用事を済ませて戻ったのは、一時間前。

当然、飯は食い尽くされ、顔を見るより先にズボンが奪われるだろうと覚悟していた。……ちょっとだけ、期待もしてた。

なあ、なんでおまえ、おれにしがみついて離さねェんだ?

ズボンどころか、キスすら求めようとせずに、しっかりおれのシャツを掴んでる手が、震えてるのはなんでだ?

……テーブルの上に並べといた飯に、手がついた様子がないのは?

参ったな。

“ウサギは寂しいと死んじまう"、……そんなのは、嘘だと知っているのに。

☆☆

「一回でもリツイートされたら飢えてるサンル書きます」がリツイートされましたw

そんなわけでいつぞや書いたうさぎルフィネタ。前回は、今年の1月の日記にあるはず。

本日プレゾロ誕、はっぴばつーみーです。

私の誕生日口実に、会社の人とご飯とかしてきましたw

(メモ)

わあんSMZさん!メッセージありがとです!

こないだは話せなくて残念!

小ネタへの感想もありがとうございます。うちのサンル、力関係は圧倒的にサン<<<ルだからなあw

掌(サンル)/大宴海お知らせ

「『サンジ、好き』って言ってくれよ」

「好きだぞ、サンジ」

「『愛してる』って言え」

「……アイシテルぞ」

「『気持ちいい』って、言って?」

「すげー、きもちいい、……サンジ」

「……『もっと』って言え、ルフィ……!」

「もっと、もっと、……サンジ!」

「『おまえしか要らない』と、言ってくれ……」

「……おれはサンジに、嘘はつきたくねェ」

好きだよ、アイシテルよ、サンジ。

おまえのくれる気持ちいいものを、おれはもっともっと欲しい。

おまえの飯も、優しい手も、それからあれも。

だけどおれは、おまえだけを見てはいられない。

おまえも、仲間も、海も、友達も、宝も、冒険も、敵も、全部要るんだ。

「おれは、おまえしか要らねェ……」

「サンジには、女もいるしオールブルーもあるだろ?」

わかってる。

おまえが欲しいのは、こういう返事じゃないのはわかってる。

だけど、これがおれだ。

おれにはおまえの望むアイとかわからないけど、それでも、おまえが大事だと思ってる。

「……泣くなよ、サンジ」

「……泣いてねェ」

サンジの手を取る。おれの好きな、優しくて甘いものを次々に生み出す手。

その掌に、握り締めすぎて残った爪の痕。

「……好きだぞ、サンジ」

そっと掌に、キスをした。

☆☆

サンルへの3つの恋のお題:お前しか要らない/愛し方なんて分からない/皮膚に食い込んだ爪先 http://shindanmaker.com/125562

ルサンっぽいがサンルと言いはる。

大宴海チケット届きました。

サンルスペースのはずなので、神々を回るついでによろしければお寄りくださいw

新刊は今、女体化痴漢ネタの続きを進めてます。…そういえば女体本&エース双子本、通販の更新してないなあ。通販したい方いるだろーか…。

(メモ)

拍手いっぱいありがとうございました!

生きてるか死んでるかわからんサイトですが、いただいた拍手を頼りに生きていきますw

みんなは一人のために

一人はみんみんぜみ!
……というギャグがわかる人はもうほとんどいるまい、と思いつつ。


カイジ」で勢いづいたので、連日で映画。
「三銃士」を観てきました。

もとより三銃士が大好きなので、映画化と聞けば観に行かざるを得ないのですが!
正直、今回の三銃士はビジュアル的にいまいち好みじゃありませんでした…。
しかし、ダルタニアンがものっそい美少年だったので、かなりびっくり。

冒頭、三銃士で王妃の首飾りネタでありながら、フランスでもイギリスでもなくいきなりイタリア!?
カッパのように登場したのがマイ最愛銃士のアトスですかオーマイガー。
つーかおいアトス!おま、なにミッションインポッシブル中に女とちゅーとかしてんだよ!女に裏切られて騙された挙げ句、世をはかなんで飲んだくれになったおまえはどこに行ったんだ!
…あ、女の名前、ミレディですかそうですか了解。これから裏切られるわけですね。
つーか強い!強いしかっけーよミレディさん!そのドレスでそのアクションかよ!
──あ、やっぱり裏切られた。

というわけで、意外な(でも予定調和な)出だしで始まった三銃士。
時代考証?それっておいしい?と言わんばかりのオーバーテクノロジーを交えつつ、基本的に原作に即してストーリーが進む。
たとえどんなに新釈三銃士であっても、三人とダルタニアンの出会いが決闘なシーンは省かない。

とりあえず三銃士モノとして新しいと思ったのは、王妃とバッキンガムの関係を完全に捏造としたこと。これで王夫妻の両片思いなどのかわゆいエピソードゲット。代わりにバッキンガム、悪役に転落。
飛行船とかレーザー網とかについては、突っ込んだ方が負けと見た。

そしてとにかくミレディがつええ。
裳裾引いたドレス着て剣戟とかなんなんだよ!ぶっちゃけ多分アトスより強いよ!
私の大好物、アトスとミレディの関係もがっつり愛憎な感じでたいへんよろしい。

ダルタニアンのヒロイン、コンスタンスはまじに可憐な美女でした。
当然のように、人妻設定は削除ww

インテリアや衣装もかなり気を使った感じで、金と気を使ってるなーと思う豪華さ。
飛行船戦闘なんか、FFみたいな迫力。

個人的に、リシュシューがわりと好きです。
一応悪役だけど、なんというか頭が本当にいい感じがイイな、と。
ロシュフォールが完全に単なる悪役なのは残念。

ところでたまには、原作の「実は伯爵やら男爵な三銃士」設定を活かした作品はないのかなー。
どの作品でも、たいていはビンボーで食いつめてるよね。
いや原作でもそうなんだがw、もっとこう、お貴族様なヨユーが欲しいよ! 

勇気、度胸、覚悟

気がついたら麦わらチェイス以来映画を観てない。
これはいかん、と、映画館に行ってきました。
インプットなしでアウトプット続けるのは無理。
時間と自分の興味を混ぜると、可能なのは「カイジ2」かな、と。
無印の方は以前に観て、たいへん怖かったのを覚えています(詳しいレビューは過去日記にて)。


さて今回も怖いかなーと思いつつ、予告編を見ていたらとんでもないことが。
ご存知の方はご存知と思いますが、実は最近、ゲーム「逆転裁判」にずぼっとハマってしまっているのですが、来春公開される実写「逆転裁判」の予告編ががががが。
うわあああなるほど君がみっちゃんが!カルマせんせーとまよいちゃんがかなりびみょー!
あああボートがそうかみつるぎさんとなるほどくんの関係再建がクライマックスね!
…みたいに超盛り上がってしまい、気づくと始まってましたカイジ

前回は、ところどころで共闘はあったものの、基本的にひとりで戦ってひとりで地獄から抜けたカイジさんでしたが。
今回は仲間がテーマ。
またしても借金で地下の強制労働場に落とされたカイジは、地下の仲間たちを救うため、彼らの期待を一身に背負い、僅かな時間だけ地上に戻るチャンスを得る。
一方、「高層ビルに渡した鉄骨を渡りきる」という残酷なゲームを、カイジの他に制したもうひとりの男──一条は、今は非合法カジノの支配人として権勢を振るっていた。
仲間から託された百万あまりを、二週間で二億にするという任務をもつカイジは、零落しきった前回のボスキャラ、利根川と再会し、彼の手引きで一条のカジノへ。
そこには一発当てれば十数億を吐き出すモンスターパチンコ、通称「沼」。
沼を攻略しようとするカイジたち。防ごうとする一条。
熾烈な戦いが始まった──!

みたいな感じなのですが、仲間がテーマなだけに、みんながみんなカイジに夢中w
あるいはすがりつき、あるいは花束渡してプロポーズし、あるいは憎悪に燃えてこだわりまくる。
個人的には利根川×カイジ萌えかなーいや一条×カイジも捨てがたい、みたいな。

まあ一応映画としては綺麗なおねーさん仲間も配置されてるわけですが、正直キャラの魅力度にかけては利根川さん圧勝。
もちろんおねーさんもキメるとこではキメてくれるし、決めゼリフもぴたっとハマっていましたが。
いい女だなーと思いましたよ、ええ。

ところで今回、「新ブレイブメンロード」として公開されるゲーム「姫と奴隷」ですが。
パンフレットを見ると、「もとは『姫と虎』だったが、虎の調達が難しかったので変更」と書かれていたので思い出しました。
古典的なリドルストーリー、「女か虎か」というやつですね。

☆☆

姫と下賤の男が恋に落ち、それを知った王は男に罰として二つの扉を選ばせる。
一つの扉には、美しい女と財産。
もう一つの扉には、飢えた虎。
どちらの扉がどちらに通じるか知っているのは姫だけ。
果たして姫は、恋人が生きて他の女を得るのを選ぶか、あるいは恋人の死を選ぶか?
姫が告げた扉が開くとき、そこにいるのは──女か、虎か?

☆☆

とりあえず、深夜料金が惜しいとは思いませんでした!
あと、逆裁予告編がもっかい観たいよ…。

スープ(サンル)

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ああ、夜食のスープが冷めちまうなあ。

サンジの作ったスープはそりゃ美味いから、冷めたって美味いけど、でもきっと、作りたての今よりはまずくなる。

メシをまずくして食うなんて、たぶんサンジには我慢できないと思う。ていうか、おれが我慢できない。

 

「なァ、サンジ、」

「……イヤだ」

「だって」

「……今だけでいいから、もう少し」

「メシ食えないし、な?」

「……かわいく言ってもダメだ」

 

ぎゅう、と、おれを背後から抱きしめる腕の力が強くなる。

「……もう少しだけ、こうしてたい」

どっか痛いのを我慢するような声で言われたら、殴って抜け出すわけにもいかない。

 

「……サンジー

「……なんだ」

「スープ冷める」

「……あっため直してやる」

「あっため直す方が、今より美味いか?」

「……」

「おれはサンジのメシを、一番美味いときに食いたいぞ」

 

耳元で、かすかな笑い声が聞こえると同時に、拘束が緩んだ。

 

「気が合うな。……じゃあおれも、一番美味いときにお前を食わせてもらう。……今晩、倉庫でなら、お前は最高に美味いだろう?」

 

 

☆☆

 

サンルへのお題:冷めたスープ/「いまだけでいい。」/かわいく言ってもダメ http://shindanmaker.com/122300

 

年に一度のフリマの売り子な日。

写真は帰りがけにセブンイレブンで買ったブツw

飛ぶ(他ジャンル/聖闘士星矢/ザク氷のつもり)

上も下も、右も左も、すべてが青い。

湿気を含んで重い翼を羽ばたかせ、眼下を見下ろす。

遙かな青のその果ては薄闇に溶け入り、時折ちらちらと揺れるは影と光。

……いつものように、飛ぶ夢を見ている。

「──きっと、あんな風に世界が見えるのだと思う。……白鳥座に選ばれたら」

そんな話を、したこともあった。

きかん気の弟弟子は、俺の語る夢を黙って聞いて、最後にこう返した。

「……俺は世界なんか見えなくたっていい。見たいものだけ見えればそれでいい」

寝床をほのかに照らすランプの灯りの中。

見えたその瞳は、夢で見たそれよりもあざやかな青。

その目に映る俺は、さながら青の中を飛んでいるかのように見えて。

──そうか。

あの時、気づくべきだった。

あの色、あの青は──空の色じゃない。

空を飛ぶ白鳥は、空を見ない。

海をゆく魚は、海を見ない。

白鳥になるべき者の瞳に映るその青は、海の色だったのだ、と。

上も下も、右も左も、すべてが青い。

湿気を含んで重い腕を振り回し、もがきながら天を見上げる。

遙かな青のその果ては薄闇に溶け入り、時折ちらちらと揺れるは影と光。

──すいと、巨大で異形な影がよぎった。

☆☆

大好きな御法川さんに、お仕事おつかれさま!で、現在の彼女のハマりジャンルを。

まさかまた氷河受けとか書く日が来ようとは…!(←昔とった杵柄)

(メモ1)

YMDさんww なんという速さww 更新から五分と経たないうちにメッセージありがとうございます!

わんこはいつも、YMDさんのイメージを壊さないかとドキドキで書いてますので、認めていただけると超嬉しいです。

兄ーずとゾロはまた改めて!

(メモ2)

拍手ありがとうございました。