わんわんわんでわんこルフィサンル

週に一度の、夜のデート。

なのになぜか、今宵の恋人は元気がない。

用意したご馳走も、とっておきのお散歩コースも、恋人にちゃんと笑顔を浮かべさせることはできるのだけれど。

その笑顔は、すぐに雲に隠れてしまう。

「……どうかしたか?ルフィ」

聞いても、茶色い耳の生えた頭が、勢いよく振られるだけ。

サンジの恋人は、子犬と人間の二つの姿を持つ獣人。

素直で無邪気で恐れ知らずで、そしてとても愛情深い。

「……サンジ」

「?」

「サンジは今でも、犬がキライか?」

小さな傷だらけの迷い犬を拾うまで。

いや、その犬が腕の中で寝息をたてるまで。

それとも、その犬が目の前で、しなやかな少年に変わるのを見るまで。

サンジがこの世で一番嫌いで、一番怖いものは、犬だった。

幼い日に追われて噛みつかれた記憶は、今も深いトラウマだ。

「……まあ……すげー好きだ、っつったら、嘘になるな」

「!」

途端に泣きそうな光を浮かべる、真っ黒い目。

それが反らされるより前に、サンジの手が優しくルフィの頬を包んだ。

甘い声が囁く。

「……犬だからおまえに惚れたわけじゃねェ」

大嫌いな生き物に恋をした、のではない。

恋をしたから、その恋のためなら、大嫌いな生き物だって受け入れられた。

「……だから、安心しろ。おまえ以外の犬にも野郎にも人間にも、絶対惚れたりしねェよ」

☆☆

昨日が猫なら今日は犬、というわけではないのですが。

こないだお会いしたヤマダさんに、わんこルフィネタを書く許可をもらったのでw

ほんとは兄ーずとゾロの話にしようかと思ったけど、まゆごむサイトの意地でサンル。

綿の国星(ハロウィン記念ハロウィン無関係サンル)

──ホワイトフィールドって知ってるか?

おれにそう聞いたのは、サンジだった。

おれはルフィ。生まれて3ヶ月の黒猫だ。

雨の降る日に、寒いとこでにゃーにゃー泣いてたのが、一番最初の記憶。

おれを抱き上げて、あったかいとこに連れてって、肉を食わせて、名前をくれたのはシャンクスだ。

だからおれは、大きくなったら人間になって、シャンクスの役に立つんだ。

──チビ、まさかおまえ、猫が人間になれるとか思ってるのかよ?

シャンクスの家で暮らしはじめてしばらく。

裏の山で知り合ったサンジは、金色の毛並みの、ものすごく綺麗なでっかい猫だった。

二つに割れた尻尾をゆっくり振りながら、すごくバカにしたような言い方で、わけのわかんないことばっかり喋る。

──猫はな、人間にゃならねェ。その代わり、いつか旅に出るのさ。

──旅?

──そう。……チビ、おまえ、ホワイトフィールドって知ってるか?

猫の旅の行く先は、ふかふかふわふわの綿の原。

そこには素晴らしく綺麗なお姫様がいて、優しくキスしてくれる。

お姫様の名前は、ホワイトフィールド。

……わけわかんねェ。

──……おひめさまとか、どーでもいい。おれは人間になって、シャンクスと一緒にいるんだ。

そう言うと、サンジはおれをじいっと見て、二股の尾を振った。

──……そいつは困ったな、チビ。おれは今、おれのホワイトフィールドの毛並みが黒いと、ようやくわかったところなんだが。

……わけわかんねェ。

どう答えようか考えていると、サンジの青い目がきゅっと細くなった。

──いいさ、今日は帰んな、チビ……ルフィ。そのうち、わかるよ。猫は人間になれねェことも、おれがいい男だってこともな。

……わけわかんねェ。

サンジが綺麗で強くて優しいことなんか、おれはとっくに知ってるのにな。

☆☆

某所診断で、ルフィとサンジのハロウィンコスプレを診断してもらったら、

ルフィ:猫耳

サンジ:化け猫

と出たので、組み合わせた猫にゃんにゃんな大島弓子ネタ。

中身はハロウィン関係ねえww

(メモ)

拍手ありがとうございました。

逢魔刻(麦わら劇場より、サンジーン×ルームズ)

霧の都と呼ばれはするが、空中を漂う粒子のほとんどは、並ぶ煙突の吐き出す煤煙だとやら。

とまれ、濃い灰色に沈む街を、彼の鳥打ち帽はためらいなく進んでいく。

大通りを曲がり、細い裏通りへ。娼婦や物乞いの横を通り過ぎ、まるで歩き慣れた庭園を歩くかのように、足音を高く霧に響かせ。

ふと足が止まったのは、濃い灰色が澱む路地。

「なァ、そろそろ出てこいよ」

振り返りもせずに、唇が言葉を紡ぐ。

「……それは、誘ってんのか、クソ探偵」

霧の中から返ったいらえは、低い男の声。

汚れた霧の中、金色の髪が光った。

「表通りじゃ、声かけづらいみてェだったからな。おまえ、意外と内気なんだな」

「──誰が内気だ。相変わらずふざけた野郎だな」

ぎろりとねめつける青い目を肩越しに振り返って受け止め、彼は破顔一笑する。

「機嫌悪ィな、殺し屋。景気悪いのか?」

「……そんなことを貴様に答える義務があるってか、名探偵殿?」

「いィや、別に。……ここはおれの街じゃねェし、おれは別に正義の味方じゃねェ。おまえの好きにすればいいんじゃねェのか、ゴルコ・サンジーン」

「……好きに、か」

一瞬に。

距離が詰められる。

眉間にぴたりと当てられた殺し屋の銃を見上げて、名探偵ルームズは声を立てずににいっと笑った。

「……これがおまえのしたいことか、サンジーン?」銃のくちづけと同時に首に巻き付いたゴムの腕は、おそらく発砲と同時にサンジーンの呼吸を止めるだろう。

「……いィや、おれがやりたいのはこっちさ」

煙草を吐き出す。

目の前の息を奪い、その不敵な笑みを喰い殺すために。

☆☆

サンルへの3つの恋のお題:裏通りに連れ込んで/それ、誘ってる?/すきにして、いいよ。 http://shindanmaker.com/125562

スパークは無事終了しました。

スペースにおいでくださったみなさま、ありがとうございました!

その後のアフターで、意外にも「名探偵ルームズ」ネタの知名度が低いことが判明したので、布教用小ネタ。

(メモ)

拍手ありがとうございました!

進行状況

サンル痴漢本&エース双子本

いずれも脱稿、レイアウト、出力終了。あとは折ってホッチキス。

痴漢本の表紙のミスとか、一字落ちの見逃しとか、!やら?のあとに一字空けるのの見逃しとか、いっぱい見つけたけどもう見なかったことにする。

製本はおおざっぱな性格ゆえにイマイチかと思うけど許してください。

…あ、シールラリー参加するってことは、なんか皿とか必要かなあ…。

(メモ1)

YMDさま!うわーい日記さぼりまくりですみませんww

お言葉ありがとうございます。拙文がYMDさまの玉稿への活力となるのであれば、それはまさしく錬金術

新刊大変楽しみにしております!

(メモ2)

拍手ありがとうございました!

星に願いを(サンル)

今宵の海は、静かに凪いでいる。

こんな夜なら、見張りもたいした苦痛にはならない。

空を見上げれば、無数の銀の瞳のような、満天の星。

「願いごとか?サンジ」

視線を下ろすと、見張り台の端に載せられた首と目があった。

麦わら帽子の船長は、コックの注意を惹くのに成功したことに満足の笑みを浮かべて、台の上に這い上がってくる。

「何の用だ?船長。ここじゃ夜食は出ねェぞ」

できるだけ冷たく言ってやると、船長は笑みを消して首を傾げた。

「なんで夜食だ?」

「……他に何の用があるんだよ?」

「……用か。用はねェ」

するり、と。

夜道で行き合う猫のように、しなやかなゴムの体がすり寄せられた。

「サンジの顔、見たくなっただけだ」

「……」

黒い髪が、眼下で揺れる。

にぃっと笑った白い歯が、星明かりに光った。

「──仕方ねェな。おれの夜食、分けてやるよ」

「え、ホントかサンジ!やった!ありがとう!」

どうか、もう少しだけそばにいて。

──星ではなく、君に願う。

☆☆

ツイッターでこんなのが出たのでためしに書いてみた。

サンルへのお題:とりあえず隣にいてよ/「いかないで。」/星に祈るのはやめました http://shindanmaker.com/122300

とりあえず短文リハビリ。

ごめん進行状況報告。

しばし留守してすみませんでした。

まずはお知らせ。

今週末のスパークに、スペースをいただいております。い81b「夢現抱影」です。

スペースはサンルで申し込みましたが、D兄弟プチにも参加表明してあります。

そんなわけで、新刊は二種類予定。

・「SOMETHING NAMED DESIRE 2」

通称「電車痴漢本」。サラダなルフィが通学電車で痴漢される話で、某クリムゾン様のダブルパロです。今回はルフィの兄ーずもちみっと登場。

・「ディオスクロイ」

通称「エース双子本」。避難所に置いてたエース双子ネタのまとめ+幼年期話、白ひげ時代話、ラストエピソードの三本書き下ろし。ビミョーにエール。わりとマルアン。

いずれもコピー本になります。

で、ここしばらく原稿に詰まりまくって、気分転換にちょっぴり逆裁(ミツナル)ネタも書いてみました(苦笑)

避難所に置いてあるので、ご興味ある方はどぞ。

ついでに大宴海2も申し込んじゃったので、また1ヶ月で新刊出さないとだよ!

そんなこんなで、浮気はしてますが、なんとかやっております。

一応本のめどはついたし、そろそろ日記復活したい気持ちはあるのですが!

……私の気力と体力増強にご期待ください(汗)

(メモ1)

お返事遅れてすみません。メッセージありがとうございます!楽しんでいただけているなら、なによりうれしいです!

(メモ2)

拍手ありがとうございました!

もったいないので

ことの起こりは、今年はじめのサンル新年会。

某様と某様が「逆転裁判!ミツナル萌え!」と語っておられるのを小耳に挟み、気になって数ヶ月。

ふと立ち寄ったブックオフで、五百円のソフトを発見したのも運命。

とりあえず2までプレイして、最愛の親友マイキーに「ミツナル萌え!みつるぎさんを泣いて謝るまで殴りたい!」とメールしてみたところ、「どんな話なの?」と聞かれたので、がっつり返事をしてみました。

そんなわけで、そのメールにかけたおよそ半月の時間と情熱を無駄にしないため、避難所に新コンテンツ「ひっくりかえす」を加えてみました。

今あるのはゲームのネタバレレポートのみです。

今後、少なくとも3まではレポート書く予定ですが、そのほかに小ネタ等が増えるかどうかはわかりません。小ネタ書くなら、本館の「でんきゆうぎ」に置くのが本筋だろうしな。

ではスパーク原稿に戻ります。スペースは、い81b「夢現抱影」です。

(メモ)

拍手ありがとうございました。

花街ネタがお気に召したならよいのですが!