飛ぶ(他ジャンル/聖闘士星矢/ザク氷のつもり)

上も下も、右も左も、すべてが青い。

湿気を含んで重い翼を羽ばたかせ、眼下を見下ろす。

遙かな青のその果ては薄闇に溶け入り、時折ちらちらと揺れるは影と光。

……いつものように、飛ぶ夢を見ている。

「──きっと、あんな風に世界が見えるのだと思う。……白鳥座に選ばれたら」

そんな話を、したこともあった。

きかん気の弟弟子は、俺の語る夢を黙って聞いて、最後にこう返した。

「……俺は世界なんか見えなくたっていい。見たいものだけ見えればそれでいい」

寝床をほのかに照らすランプの灯りの中。

見えたその瞳は、夢で見たそれよりもあざやかな青。

その目に映る俺は、さながら青の中を飛んでいるかのように見えて。

──そうか。

あの時、気づくべきだった。

あの色、あの青は──空の色じゃない。

空を飛ぶ白鳥は、空を見ない。

海をゆく魚は、海を見ない。

白鳥になるべき者の瞳に映るその青は、海の色だったのだ、と。

上も下も、右も左も、すべてが青い。

湿気を含んで重い腕を振り回し、もがきながら天を見上げる。

遙かな青のその果ては薄闇に溶け入り、時折ちらちらと揺れるは影と光。

──すいと、巨大で異形な影がよぎった。

☆☆

大好きな御法川さんに、お仕事おつかれさま!で、現在の彼女のハマりジャンルを。

まさかまた氷河受けとか書く日が来ようとは…!(←昔とった杵柄)

(メモ1)

YMDさんww なんという速さww 更新から五分と経たないうちにメッセージありがとうございます!

わんこはいつも、YMDさんのイメージを壊さないかとドキドキで書いてますので、認めていただけると超嬉しいです。

兄ーずとゾロはまた改めて!

(メモ2)

拍手ありがとうございました。