弟(サボル?)
「ステリー……?」
「はい、お兄様」
貼り付いたような笑顔に、怖気が走る。
これが、おれの「弟」……だと?
「ステリーは、優秀な子なのよ。勉強はもちろん、楽器の演奏や、絵画にも才能があると先生に褒められて」
「いやだなあ、お母様ったら、照れるじゃないですか」
不幸になるために、帰ってきたわけじゃない。
あの二人が不幸ならば、おれは幸福ではあり得ないから、──おれが不幸なら、あの二人も幸福ではいられないはず。
この息詰まる家の中で、それでもなんとか、精一杯幸せにやっていこうと思ってた。
あの二人が、幸福であるために。
……でも、それでも。
「ああそうだ、この間描いたお父様とお母様の絵に、お兄様を描き加えなきゃ!」
「あなたは本当にいい子ねェ、ステリー」
──顔をくしゃくしゃにして笑って、泣いて。
弱虫だけど意地っ張りで。
絵が好きなくせにへたくそで。
いい子でなんか絶対ない、けれどたったひとりの、おれの「弟」。
「だって僕は、お兄様の弟ですから!」
……ルフィ。
おれは、おまえだけの兄ちゃんだ。
これからも、ずっと。
☆☆
あやさんの超プリチーなイラストから、なんでこんな鬱ネタになるのだろう…。
とりあえず、あやさんに捧げてみたり。
ルフィは実はお絵描き好きですよね(笑)
今週の一人遊びといい、超人的な兄ちゃん達がいなかったら、割と年齢相応に育ったような気も。
そんでもって、実は私、ステリーにも興味あります。
八歳で親に捨てられたか死別したかはわかりませんが、それなりにハードな育ちのようだし、歪むのも当然だろうなあと。
サボの帰還は、彼にとっては死活問題のはず。
(メモ)
拍手ありがとうございました。