学パラ試し書き(その3/板前未満×親分未満)
「サンジ」
「……なんだよ」
「……なんか、怒ってるか?」
「別に」
冷たく返してやると、ルフィの頬が見事に膨れる。どうやら、拗ねられたらしい。
──どっちかというと、拗ねたいのはこっちの方だ。
二歳年下の幼なじみは、今日から寺子屋に入門した。
プライドにかけて、口が裂けても言う気はないが、──サンジは、それをずっと前から楽しみにしていたのだ。
一人っ子のサンジにとって、祖父の友人の孫に当たるこのチビスケは、弟のようなものでもあったから。
サンジが寺子屋に入ったことで減ってしまったルフィとの時間を、また取り戻すことができる。
──そう、信じて疑わなかったのに。
蓋を開ければ、人懐こくて度胸のあるルフィを、サンジが独り占めするのは不可能だった。
ルフィはあっという間に仲間に溶け込み、手当たり次第に友達を増やす。
早速、会ったばかりの友達(いやに鼻の長いガキ)と遊びに行く計画を立てていたところを、祖父のおやつで釣って、連れ帰るのに成功はしたけれど。
目を離せば、どこに行ってしまうかわからない。
──幼なじみのそんな性格は百も承知で、……でも、愉快ではない。
「チェ、……なんだよ、ウソップと冒険行こうと思ったのに」
ルフィが唇を突き出して文句を言う。
無視して、つかんだ腕を強く引く。
──離したら、どこに行ってしまうかわからない。
「……今日から、ずっとサンジと一緒だと思ってうれしかったのに」
「!」
振り返ると、拗ねた目が、見上げるようにサンジを睨みつけている。
ぎゅっと、握る手に力を込めた。
☆☆
学パラアンソロに投稿させていただいたネタの数年前。
うちの板前と親分は、筒井筒の間柄です。
いつもと違うコースで散歩中、ふと見知らぬ食料品屋へ入ったら、まだ売ってたフルーツミルク…!
とりあえず正装サンル(+ウソ)だけ買った!
(メモ)
拍手ありがとうございました。