銭王ーサイは投げられた-

さてお立ち会い。

もしあなたがワンピが好きで。
アニメだのグッズだの、ワンピのさまざまな展開をできる限りフォローしたいと思っていて。
でも、「アタシ反射神経ないし、無理よね……」と、おもちゃ屋に並ぶゲームパッケージを見てため息をついているのなら。
あなたにはこれがある。

「キングオブベリー」


ものすごく簡単に言えば、「キングオブベリー」は、双六ゲームである。
プレイヤーに要求されるのは、とにかくサイコロを振って、なるべくいい目を出すこと、それだけである。
……あとはまあ、アイテムを揃えるとか相手の戦闘力を読むとか二枚のカードのどちらかを選ぶとか進行方向を決める程度のことは要求されるが、それらの努力はすべて(よろしいか、「すべて」)、サイコロで常に6さえ振っときゃ何とかなるのである。
もちろん、エスパーでもない人間は6ばかり振るのは不可能だが、だからこそ悲喜劇が生まれる。

……とまあ、前書きはこんなところにしておいて。
いかんな、研究所のせいで、マクラ書きが常習化しとる(笑)。


某月某日。
「幻のグランドライン冒険記」の次は、「夢のルフィ海賊団」をやるつもりだった私は、ゲーム中古店をハシゴして、攻略本を探していた。ヘタレゲーマーは、ゲームの封を切るより先に、攻略本ゲットに血道を上げるのである。
しかし残念ながら、たいそう古いゲームである「夢のルフィ海賊団」攻略本はなかなか見つからない。そんなとき、ふと手に取ったのは、中古の「キングオブベリー」攻略本105円であった。
へえ、比較的新しいゲームの攻略本なのにえらく安いな、と思っただけで私はその場をあとにした。
…………
数日後、私の手には、105円攻略本と、別の店で見つけた、やたら安い「キングオブベリー」ソフト本体が握られていた。ソフトは確か、1000円しなかったと思う(相場にお詳しくない方のために、ねんのため。他店で見つけた同ゲームソフトは、平気で3000円とかした。なお定価は5000円ほど)。
簡単そうなゲームだし、「夢のルフィ海賊団」の前に、軽くやってみるのもいいだろう。
気軽に考え、私は愛用のゲームボーイアドバンスSP(シルバー)に、ソフトをセットした。

さて、まずはスイッチオン。入ったままだった前の人のデータをちょっと見てから消し(前の人、ルフィでちょっと遊んだだけで売り飛ばしてるなあ……つまんないのかな?)、新たにゲームスタート。


雄大なるグランドライン。
嵐の中を進むメリー。
ふと、見張り番の船長が声を上げる。
「氷山が近づいてるぞ?」
「え!?」
ナミさんが慌てて進路を変えようとするも、何故か舵は動かない。
氷山に激突したメリーの首は落ち。
船長も落ち。
そしてナミは落涙した……。
「修理代5000万ベリー!ルフィ、あんた責任もって稼いできなさい!」

……というわけで、プレイヤーが選べるキャラクターは、ルフィ、ゾロ、サンジ、チョッパー、ウソップの中のどれか1人になります。
もちろんそれぞれ能力に一長一短があるわけですが、ここはまあ基本として船長チョイスでいってみましょうか。

主人公が船長になった場合、他の4人の中から3人が自動的に選ばれ、双六開始となります。
ファーストステージの目的は、上記の通り、5000万ベリーを稼ぐこと。
どうやって稼ぐか、といえば、それはもちろん。
賞金首を狩りまくるわけでございます。

「よーし、行くぞ!」
張り切る船長の乗る小舟には、ナミさんの心づくしの10万ベリーと、肉が一切れ。他の3人の舟にも、同じもの。
サイコロをふって、出発進行。メリーから大海原に乗り出せば、そこには数多のイベントと、大王イカからクロコダイルに至るまでの敵と、そして隠された秘密の宝物がある、はず。
……サイコロの運さえよければね!