082 神(サンル)

神というものがいると思うか、と言われたら、そりゃあいるんじゃねェか?と答えるだろう。

耳元に聞こえる、自分以外の呼吸の音。

抱きしめた腕に感じる、規則正しい鼓動。

夢を見ているのか、口元が動いて、額がおれの胸に擦りつけられる。

「──ンジ……」

「おう、ここにいるぞ。なんだ?」

「……シ……」

「ああ、メシは夜が明けたらな」

「……にく」

「わかってる、メニューに入れてやるさ」

「………すき」

「……ああ。おれもだよ」

なあ、このおれが、これほどに誰かをいとおしく思うなんて。

こんなにも愛しいものに出会うなんて。

それはまさに、神の御業。

だけど、もし。

「……らねーぞ……」

「あ?」

「にくは……おれんだからな……」

「……おい。もしかして、好きってのは肉のことかよ!?」

神を信じるか、と問われたら、おれはどう答えるだろう。

ようやく見つけた最愛の魂は大きすぎて、おれの存在はあまりに卑小だ。

「……だから……サンジには、ちょっとしかやらねー……」

「……ちょっとかよ……」

神様とやら。

──たったこれだけで、それなりに幸せになれるおれに、恵みを垂れ給わんことを。

おれは、この小さな幸福に相応しいほどに小さい。

☆☆

神と言えばワンピではエネルだが、彼は人間関係がほぼ皆無なんでネタにしにくいんだよなあ…。

嫌いじゃないんだが、あのぶっとんだ性格。

あとは「神に祈らない」ゾロとか?…と迷ったので、迷った時のサンル法則で。

とりあえず書いてみたら、デロ甘になったでござるの巻。

(メモ)

拍手ありがとうございました。