リハビリ6
そこから先は、何があったのかよく覚えていない。……思い出したくない。
喉がからからに涸れて、体中が鉛のように重い。
身につけていた筈のものが、鎖以外何も残されていない肌はべたべたとして、シーツがまとわりつくのが気色悪い。
もはや悪態をつく気力もなく、ただぐったりとしているおれの頬を、「そいつ」が軽く撫でた感触があった。
(……、)
口にしようとした言葉が、声にならずに空気に溶ける。
そのまま、おれは泥のような眠りに落ちた。
──おまえ、卒業したら、月防衛隊に入るってほんとかよ…?
夢を見ている。自分が見ているのが、夢だとわかっているタイプの夢だ。
だってこれは、もうずっと昔に過ぎ去ったこと。
──おう。おれんちは代々軍人だしな。……おまえも、故郷に帰ったら家を継ぐんだろ?武道の名門とかだっけ?
──おれは……
──……そしたら、もしかしたらいつか、敵同士になるかもな。……ゾロダデナーの方が先かも知んないけどな。あいつんちも確か、金星の……
──ルフィタロウ、おれは、
──まあでも、殺し合うことになっても、おまえもゾロダデナーも、おれはダチだと思ってっからさ。
──ダチ……?
──おう、大事な学友ってやつ……おい、なんだよ、サン、……やめろ、
「……サンベーダー……!!!」
間一髪、間に合った。
目覚めた瞬間、鎖をかけられた手の、唯一自由に動かせる指を使って、再び伸ばされてきた生ける紐──火星人の、無数の腕のひとつをとらえることに。
☆☆
ようやく出てきたぜー。
ちなみにこのネタ、もとはといえば『学パラアンソロ』にお誘いいただいたときに考えたものなので、原型は学パラなのです。
……うん、太陽系大学とかだけどね!
(メモ1)
KKMさん、メッセージありがとうです!ジゴロっすか船長(笑)
ウチの船長は、どうもほの暗い系で申し訳ない。
リハビリは、書いてる私だけが楽しいネタだと思ってたので、ハアハアしていただけてうれしいです。ハアハアシーン少なくてごめん(笑)
(メモ2)
拍手ありがとうございました。