覇王樹(ウソップ+ルフィ)
ビビの故郷へ続く砂の海は、まだ果てが見えない。
昼間の灼熱とは打って変わった冷気から身を守ろうと、毛布をふかく被ろうとしたところで、するりと誰かが懐に潜り込んできた。
「ウソップ、一緒に寝ようぜ!」
「……ルフィかよ」
別に断る理由もない。身を寄せ合い、それぞれの毛布を重ねれば、一人で過ごすより遥かに暖かい。
「なんでおれだよ?」
「ゾロのとこにはチョッパーがいたし、サンジは死んでも男と寝るのはイヤだってさ。ナミには殴られたし、ビビもダメだって」
今夜の寝床は、大きなサボテンの陰に決めた。
砂の上に毛布を広げて、少しでも寝心地のいい場所を作る。
「でっけェサボテンだな!」
「……もう喰うなよ」
「ああ、マズいもんな」
「美味くても喰うな!おまえが暴れたせいで、たいへんなことになっただろ!」
「でも、面白かったぞ。酔っぱらったみたいにふわふわして、いろんなもんが見えた」
「そんなもん喰わなくたって、おまえはいっつも夢を見てるだろ」
……そう、夢を見るのはこいつの仕事。
いや、それはおれだって、夢は見ているけれど──どちらかといえば、おれの本領は、夢を語ることだ。
「いいから寝ろよ。……なんならおれが、化け物サボテンを倒したときの話をしてやるから」
どうせなら、おれの言葉が紡ぐ夢を見ろよ、ルフィ。
それは、サボテンの幻夢なんぞより、よっぽどマシに決まっているから。
☆☆
DLF。
自分で出したお題に困って、「覇王樹(サボテン)」に逃げてみる始末。
あと仲間で残ってるのはサンジ、お題は二つ…か。
本日の更新。
お頭がバトンを2つ回してくれたので、「わたし」に入れときました。
ただし、「苦手なカップリング」などについての記述もあるバトンなので、そういうの読みたくない方は回避をお願いします。
一応何人かの方に回してみましたが、おヒマがあればどなたでもどうぞ。
(メモ)
拍手ありがとうございました。