残念、時間切れ

嵐の海でそのガキを拾い上げたのは、そいつが同じ「夢」を持っていたからだった。

東西南北、すべての海の生き物の集う、青。

「だからおれはもうガキじゃねェっつってんだろ、クソジジイ!」

「けっ、図体ばかりデカくなったうらなりチビナスが。おれに文句があるならいつでも出て行け」

「出て行くもんかよ!テメエの死ぬのを見届けるまではな!」

……想像したことが、なかったわけじゃない。

いつか、このガキがまともなコックになって、女房をもらって。

レストランのデッキに、また新たな甲高いガキの声が響くのを。

生意気で頼りない息子と、しっかりものの嫁と、やかましい孫どもと。

……そんな、平凡な、ありえない光景を。

「おまえ、いいコックだから、一緒に海賊やろう!」

──幻のガキの甲高い声を圧して、刹那の夢を覚ますものの声がする。

おれの育てた息子を殺し、おれの育てた海賊を孵化させる声が。

☆☆☆

拍手ありがとうございました。ウチに求められているのはサンルだなーと痛いほどわかりました(笑)

なのにいきなりゼフさまですんません。

最近某CHさまのところでチビナス成分の補給がハンパないので、ついつい妄想してしまうですよ。

あ、言い忘れましたが、3256のお題その2です。

お望みの方はDLFでヨロ。