ごめんよ…

えーとなにはともあれ通販申し込んでくださった方へ。

繁忙期に辞める方の仕事を引き継ぎ、そっちは落ち着いてきたとはいうもののいまだ少しずつは来るし、他の人に情報共有しようにもその時間すらままならず、一方本来の仕事はしばらくできなかった分たまってる上にスピードアップの必要が出てきたし、しかし最高責任者はそのへん理解してないし、ちくしょうどうしろってんだよ、なワタクシでございますが、ことはお金に関すること、せめて振り込んでいただいた方の分はなけなしの日曜に発送しようと思っていたのですが、日曜は日曜で洗濯とかいろいろありまして、夜になってようやく準備しようと、買っておいた封筒を開くとまさかのサイズ間違い。本…入らねえ…

というような事情でもすこし待ってごめん…

個別メールしようかと思ったのですが、その気力がない&更新がさっぱりない言い訳代わりに日記にしてみました。

別ジャンルの原稿もさっぱり進まないししくしく。

そんなわけであちらの話の対応遅れ気味でごめんなさい某Yさん…ブログはみました…まだなんも考えてない…

でも!12日には休み取って!御法川さんと!ワンピ展に!いくんだ!

…がんばる。

ろんぐたいむのーしー

ご無沙汰しています。

春コミでスペースを訪ねてくださったみなさまありがとうございました!

「サンル本は…?」と悲しげな目をさせてしまって申し訳ありません。

ここしばらくサンル本は頑張っていっぱい出した!と思っていましたが、よく考えたらサンジ×サラダ本ばっかりだったというww

そんなこんなで先週無事に春コミを終了しましたが、その前後からにわかに体調を崩し、最高体温八度五分ほどを記録した後、ずーっと七度二分くらいをキープしております。のど痛い。

折しも職場は繁忙期、土曜休みなにそれおいしい?人が足りないからこっちで水浸しの仕事とか巨大な機械を操る仕事とかもしてね!みたいなむちゃくちゃでござりまするがなな状況w

まあなんとか休めた本日はほぼ一日寝ていましたが、ちょっとでもやることやらないと…と、新刊情報更新しました。

ご興味がありましたらどぞよろしくです。

しばらくワンピのオフ活動の予定がなくてどうしようかしらww

サイトの更新に励むべきなのか?

…寝ます。おやすみつなるさんる。

(メモ)

拍手ありがとうございます。

お久しぶりです

恐ろしいほど放置してすみません。

その後足を捻挫したり引っ越したりしていたMIYEです。

正月わんこもまだ完結してねえ…ごめんよ山田さん…。

さてご報告です。

春コミにスペースとれました!

ので、新刊を三冊!だそうとか!企んでいます!

・痴漢女体化サンル完結編

・サボルを目指した幼少期盃兄弟ほのぼの××本

逆裁ミツナル本

の…三本立て…です…てへぺろ

今現在あがってるのはサンルだけだけどね!

でももう今日、サボプチオンリーと逆裁プチオンリーに参加申し込みしちゃったから、あとにはひけないんだ…!

あ、スペースはア27bです。

どうぞよろしく!

(メモ)

拍手ありがとうございます!

原稿落ち着いたら帰ってきます…!

生存は、ツイッターでご確認いただければ!

アカウントは

shocho_hachibu

です。

氷が溶けるとき(逆転裁判映画ネタバレ感想)

映画「逆転裁判」を観てきました。

ご存知の方はご存知の通り、現在このゲーム(というよりはキャラクターと世界観かな)にハマりまくっている私に、観に行かない選択肢はない。
実写に不安はあるものの、ドラゴンボールの実写化以上のものを作るのは逆に難しいだろうしw、今まで私が実写では最大限に評価しているヤッターマンの監督。
これはいける…かもしれない。ちょっと事前に流れた役者さんたちの姿、ヅラ感ハンパないけど!



〈あらすじ〉
近未来の日本。
増え続ける犯罪に対応するために、政府は「序審裁判」の制度を設けた。
これは、容疑者逮捕の翌日から最大三日間で、容疑者が無罪か有罪かだけをざっくり判定するもの。判定方法は、ぶっちゃけ「検事と弁護士のガチンコサシ対決」である。
弁護士が勝利すれば容疑者は無罪と判定され、その場で放免。検事が勝利すれば容疑者は有罪とされ、本裁判にかけられて量刑等が決められる。早い話が、一番最初の「ふるい」と考えればいい。それが一対一の舌戦にかかってるとか、現実的に考えると不安きわまりないけどな!

主人公・成歩堂龍一は、駆け出しの弁護士。幼なじみの親友・矢張政志にかけられた殺人の嫌疑を初法廷で晴らすというデビューを飾ったばかり。
成歩堂と矢張にはもう一人、特別な幼なじみがいた。小学校の同級生で、弁護士である父を尊敬し、自らも弁護士を目指していた御剣怜侍成歩堂が弁護士を志したのも、彼の影響が大きい。
しかし運命のいたずらで、今や彼は、弁護士と敵対する検事となっていた。しかも違法ではないけれどかなりヤバい手段で容疑者の有罪をもぎ取り続けており、その美貌も手伝って、若きスター検事としての地位を確立していたのである。幼なじみの変貌に戸惑う二人。
そんなとき、成歩堂の弁護士としての師匠である綾里千尋が何者かに殺害された。容疑者として逮捕されたのは、千尋の妹である真宵。
真宵を信じて弁護に立つ成歩堂。しかしその対面に立つ検事こそは、御剣であった。
御剣の策謀と戦い、勝利を収める成歩堂。だがその翌日、彼はテレビのニュースを見て凍りつくことになる。
それは、御剣怜侍が殺人事件の容疑者として逮捕されたという報道だった。
即刻御剣のもとへ駆けつけ、彼の弁護を申し出た成歩堂は、その調査のさなか、思わぬ真実へ突き当たる。

綾里千尋は何故殺されたのか?
御剣怜侍は本当に殺人を犯したのか?
そしてなぜ御剣は、弁護士ではなく検事の道を選んだのか?
いくつもの謎を解き明かして成歩堂が見たのは……あまりにも哀しい愛の物語と、そして。

みたいな。


基本的には、原作のゲーム(逆転裁判1)の中に含まれる4つの話をまとめて1つにしたもので、幼なじみでありながら敵対することになる成歩堂と御剣の物語に焦点を絞っています。
正直、まとめ方が非常に上手いとは思います。思いますが、ちょ……っと、詰め込み過ぎの観が否めない…かな。
とにかく観ていて、情報量が過剰に多い。この監督さんの作品は、「ヤッターマン」の他に「スキヤキ・ウェスタン・ジャンゴ」を観たことがありますが、どちらもきわめて詰め込んだ作品だと感じたことを覚えています。たぶんそういう作風でおられるのだと思いますが、画面の映像情報と台詞の音声情報の処理を同時にやっていると、ときどきついていけなくなることが(私には)ありました。容量少なくてすみません。
かといって、どこを切ればいいのかはちょっとわからないんだけどな!何度観ても見つけられるであろう、原作ファンニヤリ必至のさまざまな小ネタとかギャグは切れないだろうし、伏線はきちんと引かれているしなあ…。ちょっとね、御剣の過去に関する部分と、最後の真犯人の追いつめ部分に関しては、詰め込みすぎで、観ただけではわかりにくいと思うんだよなあ。正直そのあたりがきちんと説明できていること、そしてクライマックスでの御剣のセリフがあるかないかという観点からも、物語としてのまとまりはノベライズの方が良いと思います。
もちろん映画の方は、役者さんの扮装とか演技とか美術とか演出とか、ノベライズではあり得ない良さがたくさんあるので、どっちが優れているとかいうものではないのですが。

原作との大きな相違点としては、
・御剣の過去のディテールが大きく変更
成歩堂のストーキング気質が希釈された
・トノサマン裁判に成歩堂が関わらない
千尋の殺人事件の犯人サイドがスリミング
・矢張の商売がやや地に足がついている
・貸しボート屋にボートを借りにいく人の勇気を称えたい
という感じでしょうか。

とりあえず、映画の不満点をあげてみます。
先程述べたように、情報が過剰である点。
それから、どうしても原作付きにありがちなことではありますが、基本事項に関しては説明が不足なこと。特に序審裁判については(意図的なようではありますが)もう少しきちんと説明が欲しかったです。
オープニングの、二つの法廷が交錯する演出とかはどうかな、わかりにくいかなあ。ノベライズや原作やってればすぐわかると思うけど、初見の人はついていけるだろうか。
(おそらくは去年の震災の影響で)「地震」というキーワードをカットし、御剣の過去のシチュエーションを相当変えてしまっていること。結果として、御剣の過去と綾里家とのつながりの必然性が薄れているように思います。
あとこれが一番大きいのですが、最後のクライマックス、真犯人の語りのシーンがぶつ切りなのはなぜなんでしょうか。あそこは、一気にやっていただきたかった。観ていて、「あ、切れた。また飛んだ」ということばかり気になってしまいました。
それと……成歩堂の眉毛と、御剣の寝癖かなwwww

反対に、映画で良かったと思った点。
まずなにより、役者さんが素晴らしかった。事前情報を見た段階では、なにこのコスプレパーティーと思わなかったとは申しませんが、見終わった段階では、キャラクターに違和感がほとんどないと感じていました。この人選が実に素晴らしい。
思えばヤッターマンでも、悪の三人組のキャスティングが実に素晴らしかったものですが、役者さんを選ぶ目がおありの監督なのでしょう。
何事にも体当たりでメチャクチャなほど一生懸命で、身内には時に厳しい成歩堂くんは実に成歩堂くんでした。見ているうちに、あの髪型がおかしいとは全く思わなくなっていた自分が不思議です。
冷徹で優雅で傲慢で、そのくせ内側には繊細さと激情を秘め、子供の頃の傷を抱えている御剣さんは確かに御剣さんで、口数は少なくともその存在感は見事でした。エンディングで、今まで感情を凍らせてきた彼が見せた表情は、本当に見ていてハッとするような鮮やかさでした。
そして矢張は矢張でした。ヤッパリ矢張でした。誰がなんといおうと矢張でした。
千尋さんも千尋さんだったし、豪さんはちょっと恰幅が良すぎたけどでも豪さんだったし、信さんも信さんだった。灰根さんとサユリさんなんか感涙もの。
惜しむらくは、真宵ちゃんが…原作の元気で突拍子もなくて、でも実はやわらかな女の子である真宵ちゃんっぽくないのが少し残念でした。まあ劇中では彼女は姉を殺されたばかりな訳で、キャラクター造形としてはシリアス寄りになるのは仕方ないとは思うのですが、その割に時々原作通りの突拍子もない行動を取るのが少々違和感でした。あと化粧濃いぞ女子高生w
真宵ちゃんといえば、綾里家の霊媒シーンとか、死者の行列とか、不思議な映像がとても印象的でした。映画の大スクリーンで見られて嬉しいです。
そしてさっきも少しだけ名を出しましたが、灰根さんとサユリさん。彼らの物語は原作ではほんのわずかのテキストでしか語られませんが、映像でじっくりと見せてくれたことが本当にありがたいです。正直私はこのシーンで毎回目が潤みます。彼らの物語が新たな災厄を生むわけですが、それはもう……仕方ないなあ、と思います。あれは仕方ないようん。私が彼でも、多分同じことをするよ…。

小ネタに関してはもう突っ込んでいたらキリがないですが、タイホくんの糸鋸さんへの愛には感動しました。
それから留置場の生活環境があまりにもアレでwww 逆転裁判のメインキャラはたいていあそこに入ったことがある設定なので、あれはつらいwwww 特に御剣wwww

続編については、期待されているファンの方も多いようですが、個人的には作りづらいかなあと思います。
というのも、原作のストーリーが今後は大きく動き、その結果によって人間関係が大きく変化するので、すべてを入れたら映画の尺にはとてもおさまらないし、かといってカットしたら人間関係変化に説明がつけにくいのではないかと思うので。
もちろん私の素人考えなので、プロの手にかかれば素晴らしいまとめができるかもしれないとは思うのですが。
私個人が考える可能性としては、
・映画の人間関係をベースにして、マンガ版のように完全にオリジナルの話をやる
・映画の直後の話になる原作ゲーム「蘇る逆転」を掘り下げる。ただしその場合、御剣のエンディングがそのようなアレ
・むしろ一年後の話として、逆転裁判2の最終話をメインに、御剣のそのようなアレを回想で盛り込む。しかしいずれにしても1を見てないとわからない不親切設計になり、ビギナーが入りにくくなる
逆転裁判3をベースに、成歩堂の大学時代の恋人との物語をまとめる
……かな。4の世界も見てみたくはありますが、まずは成歩堂が「伝説の弁護士」にならねばそちらは成立しないので、ある程度成歩堂シリーズが積み上げられなければそちらはあり得ないでしょう。

以上、簡単ではありますが感想を述べさせていただきました。
ぶっちゃけた話、代金分の価値は十分あると思います。
基礎知識のある方は是非劇場へ。

ツイッター記録(逆裁監禁ネタ)

ぴろ: みったんのナルホド君監禁日記。結構つまらないものになりましたww m-pe.tv/u/m/novel/?uid…
けむ:でかしたぞピロリくん!つかなるほどくん新年迎えてから飲まず食わずや
ぴろ:いやぁ飲まず食わずで放置して後で助けてあげたら簡単になつくかな、と思って(最低)
みえ:押し倒して●●●してきたのも、喉がかわいてたからじゃあるまいか おせちとおぞうに食わせてやれよ御剣
ぴろ:食事はまだしも水は飲ませないと死んじゃいますよねー。なついた後は猫可愛がりだと思いますよww
みえ:「君がいないと生きていけない(飲食的な意味で)」
ぴろ: ナルホド君もひでぇwwww
けむ:www死オチかと思ってたけど…ハッピーエンドになって返ってきて…やるなピロリ
みえ:あれは一般的にはハッピーエンドじゃないなwww 主観的にはハッピーエンドだが バレたら御剣タイホだ
ぴろ: 御剣検事逮捕です!(映画)

みえ:同性・商売敵に対する性的暴行・監禁・殺人未遂 えらいスキャンダルやな
ぴろ:でもこれってナルホド君が取り消ししたらどうなるんだろ。スキャンダルだけどww
みえ:明らかに刑事事件だから、取り下げはできないだろうなあ…。むしろ問題は、この場合なるほどくんが弁護に立てるかどうかだなww さらにスキャンダルwwwww
ぴろ:被害者が加害者を弁護するなど前代未聞ですぞ(裁判長)
みえ:自分で自分を尋問www 「でそのとき、御剣が入ってきて、僕はお腹がすいていたので、彼を押し倒して栄養を取ろうとしました」
けむ:≦d*´∀`)いぎあり!!彼から栄養とは一体どういう意味ですか!!(´∀`*b≧えっ
みえ:ひとり尋問wwwwwww 御剣いたたまれねええええええ (´∀`*b≧えーっとえーっと、蛋白質と水分がとれると思いました! (´∀`*b≧どうやってですか! (´∀`*b≧黙秘します!
ぴろ:そりゃ黙秘するわww
みえ:そもそも証言するなっていう話ですねwww (´∀`*b≧証人は監禁期間の後半は明らかに脱走可能な状態だった!なぜ脱走しなかったのですか! (´∀`*b≧だって御剣の家のご飯おいしいから
ぴろ:あーーーー執行猶予つきますね、これはwwっていうかみったんに同情してきたww
けむ:つか検事だれwww
みえ:冥ちゃんだったらさぞつらかろうwww 亜内さんかな でも検事局揺るがすスキャンダルだし、有能な人でないと……ゴドーさんかなあ
けむ:ゴドーさんwwwいつ出所したの
みえ:監禁中に出所 御剣長期休暇で手が足りないし
ぴろ:消去法できょうやくんだよww


おちはない

夢(逆裁/ミツナル/夢じゃ、夢でござる)

自分が今夢を見ているのだと、夢の中で自覚することがある。
今がまさにその瞬間だ。


私が立っているのは、クラシックなヨーロッパ調の室内と見えた。
けれども、ただの居住空間とも思えない。
ちょっとしたホールほどの広さのある室を囲む四方の壁はガラスでできており、ところどころに美しいステンドグラスがはめ込まれている。いわゆる、サンルームというものだろう。
あちこちに置かれた奇妙な形の鉢植えが重たげに枝を垂らす陰に、古めかしく優雅なデザインのベンチやデスク、チェストなどが見え隠れる。
古い映画のような、現実味のない光景。

自分が夢を見ているのだと確信する理由は、この光景に見覚えがないということの他に、もう一つあった。
目の前に、見慣れた男の姿があるからだ。
青いスーツ、尖って逆立った黒い髪、まっすぐに私を見据える黒い瞳
「みつるぎ?」
幼なじみ、恩人、親友、ライバル、想い人。
私の中で、さまざまな肩書きを持つ男が、私を見つめていつものように笑っている。
その身体は、私の掌ほどの大きさしかない。


「みつるぎ、みつるぎ、どうしたの?」
ひどく幼い話し方に違和感を覚えないのは、ここが夢の中だからだろうか。
成歩堂?」
「うん」
「どうしてそんなに小さいのだ?」
「さあ。わかんない」
首をひねってから、彼の瞳はまた私を見る。
「ぼくがおっきくないと、みつるぎはこまる?」
「……話すときに首が疲れるな」
「うん、そうだね」
あっさりと頷いて、にこりと笑った。
「じゃあ、おおきくなるほうほうをさがそうか」


先ほど見回したときには四方にガラス壁が見えたはずの部屋は、歩いても歩いても果てがない。
それに気づいてはいても、疑問に思うことはない。
視界に入るのは奇妙な形の植物と、そしていくつものアンティークな家具。猫足の浴槽、スタンドの鳥籠、天蓋のついた寝台。
小さな成歩堂は私の前をちょこちょこと歩き、時折私がついてきているのを確かめるように振り返る。
「みつるぎ、だいじょうぶ?」
なにをもって大丈夫かと問われているのかはわからない。この状態で、どう考えても大丈夫でないのは、小さくなってしまった彼の方だと思う。
だがそんなことを議論しても始まらないし、彼の自尊心を傷つけたくもない。
「問題ない」
頷いてやると、成歩堂は安心したように笑う。
「なにかあったらいってね」
「ああ」
「みつるぎのことは、ぼくがまもるから」
「!」

──だいじょうぶだよ、だいじょうぶだよ、しんぱいしないで、ぼくがいるから。
掌ほどしかない彼は、それでもその小さな全身で、私を気遣っている。


いきなり、成歩堂が小さな悲鳴を上げた。
「どうした!?」
あわてて覗き込むと、彼と同じほどの高さの鉢の陰から、一匹の蛇が這い出してこちらに向かってくるのが見えた。
成歩堂!」
「だ、だいじょうぶ!」
彼は気丈にも、近くの植物の枝を折りとり、振り回し始めた。
「こ、こっちくるな!みつるぎをかんだらゆるさないぞ!」
「私のことより自分のことを心配したまえ!」
慌てて、武器になりそうなものを探す。
手近な卓子の上に置かれていた燭台を掴み、空いた手で成歩堂を掴んで引き寄せる。
屈み込んで火を近づけると、蛇は恐れたように逃げ去った。
「怪我はないか、成歩堂?」
咄嗟に、ひどく乱暴に扱ってしまったことに気づく。
だが彼は私の手の中で首を振り、照れくさそうに笑った。
「ありがとう、みつるぎ」
「……無茶を……しないでくれ」
「だいじょうぶだよ」
「何が大丈夫なものか!」

いつもそうだ。
再会してこのかた、彼はいつでも無茶な戦いばかりに身を置いている。
経験も浅く、知識も不完全、身を守る術すら知らず、彼はまっすぐに、巨大な敵に突っ込んでいく。
背後ではらはらと見守るこちらの気持ちなど、きっとその意識の中には露ほどもない。
助けたいと、守りたいと──誰にも、傷つけさせたくなどないと。

「みつるぎ?」
まっすぐに見上げてくる目を、そのまま私に向けていれば。
誰にも、触れさせはしないのに。

ゆっくりと指を曲げ、柔らかく握り込む。
このまま──このまま、この手を開かなければ。

手の中で感じる、彼の体温。


「みつるぎ」


落ち着いた声が、私を呼ぶ。


「だいじょうぶ?」


小さな両腕が、自分を捕らえようとする指の檻を抱え込む。
私の指をしっかり抱いて、彼はふてぶてしく笑う。


「みつるぎのことは、ぼくがまもるから」


「……君は自分のことをまず心配したまえ」


緩やかに指をほどくと、彼はまた私に先立って歩き始める。
その姿を見失わないように、私はその後ろをついて行く。
彼の背に守られながら、彼のすべてを守りたいと願いながら。



〈──伝言は、一件です〉
〈やあ、御剣、こんな時間にごめん。寝てる……よな?〉
〈あ、なんでもないんだ。変な夢見て、ちょっと気になったからさ〉
〈……また近々、飲みにでも行こう。じゃあな〉
〈──伝言を、消去しますか?〉

わんわんわんわん!

「で、それはなんだ?」

水を向けてやると、夢中になってケーキにかじりついていたルフィの耳が、ピンと立った。

「そうだ!あのな、サンジ、これ!作ってくれ!」

「ん?」

油で汚れた指先が差し出してきたのは、小さな紙片。受け取って開くと、中には癖のある手書きの文字が並んでいた。

「なんだこりゃ……レシピ?」

「それあれば、料理人なら作れるって言ってた。サンジ作れるよな?」

「……そりゃあ作れる……と思うが……」

「作ってくれ!ウマいんだそれ!」

にん、と無敵の笑顔を向けられる。

「……」

しばらくレシピとルフィの顔を見比べて、サンジは慎重に口を開いた。

「……これは、誰が書いたんだ?」

「エースの友達だ」

「エース?」

「おれの兄ちゃんだ。あのな、しょーがつはエースの誕生日だから、遊びに行ったんだ!」

ルフィと一緒に育った“兄弟"の一人(一匹と呼ぶべきか?)は、“いろんな動物がいっぱいいる家"にいる、そうだ。

飼い主の計らいで、そこで正月を過ごしたルフィは、“すごくウマいもの"をご馳走になった、そうだ。

「すげーウマかったから、どうやってつくんだ?て聞いたら、サッチがこの紙くれた。これ見れば作れるって」

「……」

どうやら、サッチとやらがレシピの制作者らしい。

「あとな、マルコってのがいてな、青くて光る鳥で……あ、それからな!エースの飼い主がすげー白ひげのおっさんで!」

夜道で拾った、傷ついた小さな子犬。

──彼の世界が、自分の手の中だけではないということは、最初からよく知っていたのだけれど。

☆☆

ヤマダさん、速攻で拍手くれてありがとう!

お待たせした割にはたぶん期待はずれでごめんw

ていうかまだ続くのかよ!

(メモ)

拍手ありがとーございました!