四次創作:無題(逆裁/ミツナル/パラレル/人様の褌/人外ネタ)

ひたひたと、水のように闇が満ちる。
聞こえるのはただ、荒野を抜ける風の音。


朽ちかけた荒野の古城を、人は呪われた城と呼ぶ。
陰惨な伝えの染み付いた石壁は崩れかけ、宿を乞う旅人とてない。


──月が射す。

コツリ、と。
石床を踏む、硬い靴音。

「……ナルホドウ?」

数百年灯の入ったことのない大広間には、凍るような冷気と、濃密な闇だけが満ちる。
僅かな月光に照らされて浮かび上がるのは、年若い青年──あるいは、それに似た姿を持つもの。
灰色がかった薄い茶の髪に縁取られた、極めて秀麗な容貌には、柔弱さの欠片もなく。

「ナルホドウ、どこだ?出てきたまえ」

鍛えられた逞しい体躯に上質な衣類を纏い、さながらに大都会の舞踏会で淑女の手を引く紳士のような優雅さで。
一条の光もない闇に、若者の姿を持つ存在は──城の長は、歩を進める。
……人ならぬ者の証、真紅の瞳の前には、闇こそが光。




大広間を越えて、塔へと繋がる螺旋階段の方向へと、足音が向かう。
その音を、大きな尖った耳で捉えて、子供は小さく安堵の息をついた。
──同時にまた、瞳から水滴が落ちる。

……泣いちゃだめだ。

ささやかな避難所を形作る、古びた豪奢なカーテンに顔を埋める。
泣いてはダメだ。泣いたら……ミツルギは、きっと、もっと怒る。


人間の幼い子供、と。
彼を見た者は、おそらくはそう判断するだろう。
……もしも、その頭の両側に広がる尖った獣の耳と、下衣の隙間からはみ出した尾に気づかなければ。

逆立つ髪、耳と尾を覆う滑らかな毛並みは漆黒。
大きな瞳は、異形を示す真紅。
細く華奢な、いまだ完成しない肢体は、闇にも白く浮かび上がる。


城の長が、図らずも異種族の養い子を迎えたのは、数年前。
闇の眷属、ヴァンパイアの庇護下とされた幼いウェアウルフがこの城に来て、まず覚えたのは、だれもいない昼間の時間を、ただひとりで過ごすこと。
城の隅々まで探検しつくすのは、すぐに飽きた。
あとはただ、陽が落ちて養父が目覚めるまでの、長い長い、空白の時間──



突然。
掴んでいたカーテンが強く引かれた。
咄嗟のことに対応できず、子供は隠れ場所から転がり出す。
「──!」

目を上げると。
もう一対の、真紅の瞳。

「この城のどこに発熱体があるかくらい、この私がわからぬと思ったか?」

身が竦む、鳥肌が立つ。
闇の王族の瞋恚は、幼い魔族には苛烈なもの。
また目から水滴が溢れそうになるのを感じて、慌てて下を向いた。
「……ごめ……なさ……」
震える声を、懸命に紡ぐ。


城の敷地から外に出ることは、禁じられていた。
理由は説明されず、ただ連れてこられたその日に、それだけはきつく命じられた。
退屈な昼間の時間、しばしば庭から外を垣間見て、荒野の草の匂いを嗅ぎながら、そこを駆けることを考えた。
……けれども、禁を犯そうなどと、夢にも思いはしなかった。
なぜならそれは、ミツルギとの約束だから。

飢え渇き凍えていた狼を拾い上げ、食事と温かい寝床と優しい手を与えてくれた、世界で唯一の存在。



今日の昼間、城には珍客が訪れた。
庭にちょろりと迷い込んできたのは、小さな栗鼠。
思わぬ遊び相手を得て、子供は──狩りを学び始めた幼い獣は、禁を忘れた。


我に返ったのは、すぐ近くで聞こえた人間の話し声のせい。
慌てて身を翻し、藪に身を潜める──姿を見られれば、騒ぎになるのはわかっている。
禁を犯し、人里近くまで来てしまったのだ、と悟った瞬間、目の前が暗くなった。

──ミツルギの冷たい表情が、脳裏に浮かぶ。
薄い唇が開かれて、そしてきっと、こう言う──


夕刻に目覚めた城長は、なんなく養い子の挙動不審に気づいた。
厳しい叱責は、覚悟していた。殴られても蹴られてもかまわないと思った。
とはいえ、ミツルギが今まで、子供に手を上げたことなどないのだけれど。

怒られてもいい、ぶたれてもいいから、だから、どうか、──言わないで。



「……ナルホドウ」
少し困ったような、穏やかな声がする。
同時に、ぺったりと伏せられた耳に、冷たい手が触れるのを感じる。
「……すまなかった。叱りすぎたな」
「!?」
ぴょこんと、獣の耳が立ち上がる。
同時に、はじかれたように上がった顔に──涙に濡れた瞳に、柔らかな口づけが落ちた。
「もう、怒ってはいない。……わかるだろう?」
「……」
身動きもできず、呆然と見上げた視界に映るのは、優しい笑み──少しばかりの苦笑を含んだ。
そのまま、懐の中に強く抱き込まれる。

「君はまだ幼い。我々はこの世界では異形の存在……人間に知られれば、狩られる運命にある。そして昼間は、私は君を守れない」
「……」
「寂しい思いをさせているのはわかっている。だがもう少し──君が自分を守れるようになるまでは、私に君を守らせてくれ」

額に、頬に、鼻梁に、瞼に、優しい感触が降る。


「……言わない?」
「何をだろうか?」
「悪い子だから、出てけとか、言わない……?」

答えは、強められた腕の力。
体温のない腕は、だけどこの世の何よりも、あたたかい。

「みつるぎ」

向けられる、血の色の瞳。
はじめて出会ったあのときから、ずっと惹かれ続けている。

「だいすき」

ぺろりと頬を舐め返すと、闇の眷属は、ひどく優しく──光のように微笑んだ。


☆☆

ううう……自分の語彙力と表現力のなさが憎い…!
元ネタは、国原さまがピクシブに上げられた、ヴァンパイア御剣&ウェアウルフ成歩堂……をさらにリスペクトされたピカルさまの設定です。つまり四次創作?
流れは基本ピカルさまが語られたまんまなので、私はただ文章化しただけですが、それがこんなに困難だとは。

……精進しま……す……。

※なお、二人の名前に関しては、お二方どちらの作品からも明確な表記がわからなかったので、舞台的にたぶん外国だろうと、安易にカタカナ表記にしてみました。ナルホドウ、はちょっとトランシルヴァニアの名前っぽくていいかも。ヴラド公の弟の名前は、ラドウだっけ?

敵船コメントよりサルベージ(ヒグマ×ルフィ)

ると、少年の肩がびくりと震えた。
「なにが、海賊だ。あんな腑抜けが長とは笑わせるぜ」
あえて雑言を吐いたのは、それが少年を激昂させるとわかっていたからだ。あの目を見、その配下の力を見た今、赤毛の男を侮る気持ちは揺らいでいる。
だが、おのれの力のみを頼りに生きてきたヒグマには、それはとうてい認め難いことだった。
傷ついたプライドは、畏怖によって補われねばならない。
この気の強い少年をねじ伏せ、自分の力を認めさせ、恐れさせる。あの赤毛の男よりも、自分の方が上だと認めさせる。
そうしなければ、彼の肥大した自尊心は維持できない。
思った通り、尊敬する男を罵られた少年は、可愛らしい顔に怒りの表情を浮かべ、きっとばかりにヒグマを睨みつけた。
「シャンクスの悪口いうな!シャンクスは腑抜けなんかじゃねェ!おまえと違って!」
「……なんだと?」
自らの行動を意識するよりも早く、少年の頬が音高く鳴った。しかし少年は、怯む様子さえない。
「おまえなんかがぶったって、痛くなんかねェぞ!弱虫!」
「……!」


瞬間。
脳裏が白く染まった。

「なにすんだよ!」
少年の顔に浮かぶ表情が、怒りから驚きに変わるのが見える。自分の身に何が起きているのか理解できないのだろう。
……理解できないのは、ヒグマも同じだ。
裾からまくりあげたTシャツの下には、当然ながら、乳房もなければくびれもない。平らな胸と腹の帯びるわずかな丸みは、性別のもたらすものではなく、幼さのもたらすものだ。
ただの、ガキ。女の子ですらない、ただの薄汚れたオスガキ。
頭の中では、そう理解している。
だが、奇妙なことに、ヒグマの中には、かつて経験したことのないほどの、強い衝動があった。
目の前のこのやわらかい肉を、蹂躙したい。支配し、所有し、征服したい。目も眩むような情動。

「……な、何したって、おまえなんか恐くないぞ!……っ!」

うるさい口を、まず塞いだ。
そのまま、胸と腹に手をすべらせる。
薄くもろい皮膚は、ひどくなめらかだった。剛胆に振る舞おうとする主の意思を裏切り、飛び跳ねるように脈打つ鼓動を、直に感じる。
あまりの手触りのよさに、数度、掌を往復させた。男の荒れた手が不快なのか、少年は身をよじって逃れようとするが、抑えるのはぞうさもない。

これは当然の権利だ、と、頭の中のどこかが囁く。
少年は今や、自分を、大山賊ヒグマを愚弄し、その権威を傷つけたすべてのものの象徴、彼を見下す敵そのものだった。
おのれの誇りを守り、その力を示さねばならない。この敵を踏みにじり、勝利の凱歌を。
それは、自分の当然の権利だ。

瑞々しい肌をたどると、指先は腰にたどりつく。
半ズボンの前ボタンに手をかけると、再び少年は激しく抗った。
その抵抗を歯牙にもかけず、一気に下半身の着衣を下着ごと引きず


☆☆

2009年冬コミで、サンル大御所さまたちが出された敵×ルフィ本「ONE NIGHT LOVER」のコメント欄の空白を埋めるために書いた超適当文。
一応設定としては、一話で登場した山賊ヒグマ×8歳ルフィの無理矢理鬼畜ネタ。実際に投稿したボンちゃん×ルフィの純愛ものと迷った結果、自分のエロ作文の能力を鑑みて没ったネタですが、考えたネタがもったいない(貧乏性)ので、ちょびっと文章化してみたもの。

夢の夢──翌檜サラダ──(チビナス×サラダ)

【IF──もしも、】


天使が降りてきたのを見た。
太陽の光を背負って、おれを見下ろす天使は、レディの姿をしていて。
にっかり、と笑って言った。
「おまえはいいコックだから、私と一緒に海賊しよう?」




……あれ?
なんでおれ、こんなことを思い出してるんだろう……?
ここ、どこだ?
おれは、どうしたんだっけ?

……ああ、そうだ。
ナミさんが、ひどい熱を出して。
ルフィがナミさんをおぶって、雪慣れしたおれが護衛をして、医者がいる山に登るはずだったんだ。
ガキだからってバカにすんな。温暖な東で生まれ育った連中とは、つくりが違う。北で生まれ、数年前まで北にいたおれは、雪の声を聞くのに慣れている。
だから、いち早く気づいた。……雪の砕ける音に。

──逃げるぞルフィ、どこまでもだ!
──一にナミさん、二にナミさん、三にナミさんだ!
──……レディたちは、ソフトに扱わないとな!

ルフィ。
ルフィなら──きっと大丈夫。
流れてきた雪から、どうすれば逃げられるのかはちゃんと教えた。……教えたおれが逃げきれず、雪に捕まっちまったのは……不覚、だけど。

ルフィ。
北の海からきたおれを、海上レストランから連れ出して海賊にした、おれの天使。
おれより九歳も年上のくせに、かわいくて、バカで、食いしん坊で、口が悪くて、ゴムで、乱暴で、おっぱいが大きくて、強くて、やわらかくて、サラダばっかり好きで、……そしていつか海賊王になる、おれの天使。
おまえがおれの前に降ってきたそのときから、おれの世界はおまえだけのために動いてる。
だから──もしおれがこのまま雪に埋もれて死んでも、泣いたりするこたァねェ……よ。

できればもういっぺん、あの太陽みたいな笑顔が見られたら。
……そうしたらきっと、おれは死ぬほど幸せだろうけど。
でも、そんなもん見せてくれなくてもいい。
ナミさんをちゃんと助けて、おまえも怪我とか治して、そして海賊王になればいい。

そんときに、おれの作るサラダを食べたいと思ってくれれば。
もう、それでいい。
──おれの、おれだけの、導きの天使。


(……サクサクと、雪を踏み分ける足音が近づく)



【彼が十年遅刻して、彼が彼女だったなら。】

☆☆

お題
ショタサンル

ナスサラダへのお題
だから、しよ?
死にそうに幸せ
一目見た時から俺の世界は君だけだった



あまりナスらしさがなくてすまん…

リング(エール現パロ)/更新

「ほらよ、土産だ」

細長い紙箱を放り出してやると、弟の目ははっきりと輝いた。

「ドーナツ!食っていいのか、」

「当たり前だ。……サボに見つかると、飯前のおやつはどうとかうるせェから、とっとと食っちまえ」

にやっと笑ってやると、ルフィは無邪気な、ガキのままの顔で笑い返した。

「だからエース、大好きだ!」

──おまえあんまり、ルフィを束縛すんなよ、

もうひとりの兄弟の声が脳裏に響く。

──いつまでもガキじゃねェんだ、……あいつの世界はこれから広がる。いつまでもおまえのあとを追っかけてなんかこない。

望むところだ、うっとうしくなくて助かる、と答えたのは、このおれ自身。

おまえかおれか、どちらかが女なら、寒気のするような甘い言葉と、冷たい金属のリングで足りるだろうか。

もっとも心臓に近いと言われる指に填める、奴隷の枷の名残。

だが現実として、おれもおまえも男で、言葉も、枷も、互いを縛ることなどあり得ない。

甘い砂糖と油のリングは、お前の胃袋にからみつき、そのまま消えるだけだ。

「エース」

弟の呼び声に、目を落とす。

「これなら、食えるか?あんまり甘くないやつ」

弟の手がおれに向けて差し出すリングからは、シナモンのほろ苦い香りがした。

☆☆

エースとルフィのペアリングが出たんですって、お聞きになりまして、奥様?

んまあ、兄弟でリングって正気か公式、つーか、エースは指輪なんかさっぱり興味ないキャラじゃありませんかしら奥様。

独占欲はありそうだけど、指輪なんてまだるっこしい象徴で我慢しませんわよね!むしろそれはサンジ。

…と思って書いてみたリングネタ。

久々に更新。

オフのゲスト原稿再録。まずは、アメゴムのアンソロに載せていただいた分です。

あと紙物を最新情報にしました。

(メモ)

拍手ありがとうございました!

小ネタなしでスミマセンが大宴海お知らせ。

昨日の日記で書くつもりが、文字数キツかったので本日に回りましたw

表題の通り、大宴海でスペースいただいております。

いつも通り、サイト名=サークル名、メインはサンルでございます。

周りは例によって神々の宴なので、お気が向いたら休憩にお立ち寄りくださいw

今回新刊は、前回の続きでサンジ×サラダルフィ痴漢ネタ三冊目です。自分で書いてて、すでにエロいんだかなんだかわからないけどひたすら胸焼けしました…。

官能小説家ってすごい。

続きは多分、春コミ…かな…。サボプチと逆裁プチがあるしね!(←ついに逆裁オフに手を出すつもりか…!)

あと既刊はサンタルフィ、板前親分、痴漢本1と2、それからエース双子本になります。

逆裁にハマって三ヶ月。

相変わらず萌えてますが、それはそれとして落ち着いたようで、別サイト立ち上げるか逆裁コンテンツ作るかどーしよーかなと迷いつつも、サンル書く意欲も同時に湧いてきつつあります。

手始めに、昨日書いた遊郭の二人をなんとか幸せにしてやりたい、と、今日一日いろいろ試行錯誤しておりました。

あのくらい純情で、サンジ「だけ」が好きなルフィは書いたことないよ!幸せになるべきだよ!

…サンジ、身請けするような金も、足抜けさせる勇気もないけどな!

(メモ)

拍手ありがとうございました!

四角い卵(遊郭ネタサンル)

鬼の霍乱──などとからかうと、粗末な布団の下で、少年の頬がむうっと膨れた。

「おれのせいじゃねェ!昨夜、ワニが無茶しやがったせいだ!」

「……ふーん、そうかい」

慣れぬ異郷の、ましてや慣れぬ男娼館に住み込んだのは、金のため。

次の異郷へ渡るために、一時草鞋を脱いだ、ただそれだけのつもりだった。

野郎の尻を追い回す趣味は理解できないが、自分の尻が無事であり、自分の料理を味わう舌を持ち、それに相応しい報酬さえ払ってくれればかまわない。

──ただ、それだけのつもりだった。

娼館一の売れっ妓は、本日臨時休業。

業突張りな妓楼の主が文句を言わないのは、件の客が、今宵彼を買い占めるに相応しいだけの花代を残したからだ。

彼の一番の上客は、決して吝嗇ではない。

だから、サンジのすぐそばで、猫のように体を伸ばすこの少年は、……今この瞬間も、実質は他人のものだ。

「サンジ、メシくれ。腹減った」

「働けもしねェくせに、メシだけは食えるのかよ」

「サンジのメシなら、一日に五回だって食える」

「……」

黙って、枕元に膳を整える。

「なあ、サンジ」

「……何だ?」

「おれと、したくねェ?」

取り落としかけた盆を持ち直して、見下ろす。

布団の中から見上げてくるのは、男を狂わす魔性の瞳。

「──からかうのは勘弁しろ、太夫。おれァしがない賄い方だ、商品に手なんか出せるか」

「……口は吸うのに?」

「……。勘弁しろ。お前の口は、商品じゃねェだろ」

に、と、布団の陰の唇が笑みを作る。

「だな。おれはサンジとしかしねェ」

野郎の尻を追い回す趣味なんぞ、今も知りたいとは思わない。

ただ、この唇が、それだけが自分のものであれば。

いつの間にか健やかな寝息を立て始めた「商品」の唇をもう一度盗んで、サンジは静かに盆を持ち上げた。

☆☆

サンルへの3つの恋のお題:好きな人は君だよ/あどけない寝顔/綺麗な心、汚れた体。 http://shindanmaker.com/125562

ひとつなぎ内の「遊郭」ネタ、「晦日の月」のサンル。

今回の客はとりあえずクロコ様。

[四角い卵と遊女の誠 あれば晦日に月が出る]

(メモ)

拍手たくさんありがとうございました!

薄闇(サンル)

一戦終わった後、未練がましく黒髪を撫でる。

船倉の床に、おれの上着を敷いたまま、素っ裸で転がっている船長は、しばらくおれのしたいようにさせていたが、やがて身をよじって手を避けた。

「……イヤか?」

「……」

薄闇の中に、底知れない闇のような二つの黒い瞳

上目遣いにおれを見上げたあと、その目はふっと逸らされる。

いつもそうだ。

この体はおれの腕の中にたやすく落ちる。

だけどその中、その奥にある心を、おれはまだ手にしたことがない。

僅かな動作、一瞥、無愛想な言葉にただ振り回され、どうすればこいつを芯から「自分のもの」にできるかと懊悩する。

……それすらも、恋の醍醐味であると知っているけれど。

なあ、どうしたらおまえはおれのものになる?

どうしたら──おれを、愛してくれる?

ぽつり、と、沈黙を破って。

小さな声。

「……サンジは……触るの好きなだけか?」

「……は?」

思いも寄らぬ問いかけに目を落とす。

「……!なんでもねェ!」

くるりと寝返りを打ち、綺麗な背中を見せた、──その頬が闇の中でもわかるほどに赤く見えたのは、気のせいか?

「……ルフィ?」

「うるせェ!もう寝る!おやすみ!」

「……愛してるぜ。おまえの体ごと、その奥の心も魂も全部」

「!!」

たちまち背中まで桃色に染まるのを見ながら、おれはもう一戦を挑むために手を伸ばした。

☆☆

サンルへの3つの恋のお題:もっと愛して、奥まで愛して/どうしたら俺のものになる?/可愛いにも程がある http://shindanmaker.com/125562 +上目使いサンル

なんか当社比異様に甘め?

(メモ)

拍手ありがとうございました!