星に願いを(サンル)
今宵の海は、静かに凪いでいる。
こんな夜なら、見張りもたいした苦痛にはならない。
空を見上げれば、無数の銀の瞳のような、満天の星。
「願いごとか?サンジ」
視線を下ろすと、見張り台の端に載せられた首と目があった。
麦わら帽子の船長は、コックの注意を惹くのに成功したことに満足の笑みを浮かべて、台の上に這い上がってくる。
「何の用だ?船長。ここじゃ夜食は出ねェぞ」
できるだけ冷たく言ってやると、船長は笑みを消して首を傾げた。
「なんで夜食だ?」
「……他に何の用があるんだよ?」
「……用か。用はねェ」
するり、と。
夜道で行き合う猫のように、しなやかなゴムの体がすり寄せられた。
「サンジの顔、見たくなっただけだ」
「……」
黒い髪が、眼下で揺れる。
にぃっと笑った白い歯が、星明かりに光った。
「──仕方ねェな。おれの夜食、分けてやるよ」
「え、ホントかサンジ!やった!ありがとう!」
どうか、もう少しだけそばにいて。
──星ではなく、君に願う。
☆☆
ツイッターでこんなのが出たのでためしに書いてみた。
サンルへのお題:とりあえず隣にいてよ/「いかないで。」/星に祈るのはやめました http://shindanmaker.com/122300
とりあえず短文リハビリ。