後遺症A(サンル/二部設定)

熱っぽい囁きと荒い息が途絶えて暫し。

自らの腕にようやく戻ってきた恋人を抱き締め、刹那の永遠に酔う。

頬に当たる呼吸はすでに、眠りにあるそれ。

しっとりと汗を含んだ黒髪を指で梳き、もう一度唇を寄せると、自分の髪がゴムの頬を愛撫した。

その、瞬間。

いきなり伸びてきた腕が、いかにも邪魔そうに、のしかかる頭をぐいと退けた。

「……結婚はしねェって言ってんだろ」

ちょっとばかり不機嫌そうな、低く押し殺した声は、またそのまま寝息に溶ける。

あとに残るのは、恋人に押しのけられたコックの、茫然自失の顔ばかり。

☆☆

ルフィのプロポーズお断りが、もうクセになってそうだなーと。