039 窮屈(ブルック誕/ブルック&ロビン)
真夜中にふと目を覚ます。
上下左右から響く、いびきと歯ぎしりと寝言と寝息と。
空気を伝わる、人の体温。
「──眠れないのかしら?」
声に振り返ると、ロビンさんがグラスを手に立っていた。
真夜中の甲板を照らす月明かりの下、その姿はまるで女神のようだ。
「ロビンさんも、ですか?」
「そうね」
にこりと笑って、女神は私の隣に立つ。
「この船は──窮屈でしょう?」
突然言われた言葉は、あまりにも意外なものでありながら、私の中に違和感を残さない。
銀の光を浴びた美女は、緩やかに微笑んだまま、言葉を紡ぐ。
「……私も、そうだったわ。──ずっとひとりだったから、独りで過ごすのに慣れてしまっていたから……この船は、とても落ち着かなかった」
「……」
霧の中の五十年。
どれほど、「人」に焦がれただろう。
自分以外の声に熱に、匂いに気配に。
賑やかな船旅に、誓って不満などない。
だが──ふとした時に感じる違和感は、拭いようもない。
これは、この仲間たちは、夢ではないのか。
霧の中で、孤独に疲れ果てた私の意識が見せている幻ではないのか。
私の目が覚めれば煙のように消えてしまう、泡沫ではないのか。
くすり、と、女神はまるで悪魔のように笑う。
「覚悟しておきなさいな。……この船は、孤独に慣れ親しんだ人間を、静かに放っておいてなんてくれないわ。遊びに誘って、お金を巻き上げて、発明を見せて、料理のリクエストをきいて、修行を手伝わせて、──そしてルフィが引き起こすすべてに巻き込む。孤独などに構っている暇はないわよ?夜中でさえ、こうして私が邪魔をするもの」
夢か、幻か、泡沫か、……それとも、現実か。
見極めるのも、悪くはない。
この船には、五十年の孤独では購いきれないものが乗っている。
☆☆
ロケーションが去年のロビン誕とほぼ一緒とかは言いっこなし。
今月誕生日の人をもう一人忘れてた。
ブルック、白ひげの間にボンちゃんが入るんだぜ…!
(メモ)
よーへーに熱いラブコールありがとうだ(笑)
私が花道受(洋花以外)を書くときの洋平の無敵度は、ルフィ受けにおけるエースやシャンクスのそれに匹敵します(笑)
洋花だと、へたれ攻めでも萌えるんだけどなー。