旅立ち(エール/ジャンプネタバレ)
最後にぎゅうっと抱きしめると、弟はくすぐったそうに笑った。
「またな、エース!」
抱きしめ返してくる細い腕は、少年と言うよりも、まだ子供のそれ。
「おれも3年経ったら、追っかけてくから!」
「……その前におまえがアホなマネして死んだりしねェか、兄ちゃんはそっちの方が心配だよ」
子供特有の、高い体温。
ゴムの体質のもたらす、独特の肌の感触。
太陽の光を吸った、髪の匂い。
「バカだな、エース。おれは大丈夫だぞ」
憶えておこう。
この温度も、この感触も、この匂いも。
今手を離せば、おれはもうおそらく生涯、安らぐことはない。
「ちゃんとすぐに、エースに追いつく!」
「……そうか。そうだな……」
憶えておこう、何もかも。
いつかこの手で殺すかもしれない、たったひとつのおれの導きの星。
☆☆☆
ジャンプようやく解禁ー。
いつも土曜に早ジャンを買っているわけですが、今回はエールすぎてどうしようかと思った。
あの凶暴幼児が、今の一見常識的な兄ちゃんに育つのに、ルフィの果たしたと思われる役割の大きさよ。
まあ、離れるとすぐに人斬りナイフになっちまうわけだが。
またそれに対して、弟の方もああいう選択をするわけだし。
そして、ルフィ至上主義者としては、今回の選択はまあ…仕方ないかな、と。
ここでもしリタイアしたら、一件終わっても、ルフィは笑うことができないもんなあ。
どんなに無茶でも、どんな結果になっても、この選択さえ徒に体を痛めるだけで全くのムダであったとしても、「くいを残さない」ために、ルフィはああするしかない。
最後に何の心置きもなく、あの笑顔を浮かべるためには、体よりも、魂と精神の在り方が優先だからなあ……。
仕事に加速がついてきてちょっと泣きそうです。
でも頑張る。水曜日のデートのためにも!
(メモ)
拍手ありがとうございました。