背中の海(エール)
「目が覚めたか?」
「……エース?」
ゆらゆらと揺れる、船の夢を見ていた。
顔もよくわからないけど、大事なおれの仲間達が一緒だった。
風を受けるのは、黒地にドクロの旗。
「……おれ、どうしたんだっけ?」
「──あァ、悪ィ。ちょっとやりすぎた」
「……ああ。……おれ、また負けたのか?」
「そうだ」
ゆらゆらと揺れるのは、エースの背中だ。
二歳しか違わないのに、しっかりと筋肉がついて、おれとはもう体つきが全然違う。
──あと二年したら、おれもこんな風になれるだろうか。
「……目が覚めたなら、降りて自分で歩け」
「……いやだ」
きゅっと、腕を首に回した。
木の根っこのようにぶっとい首が、笑い声に震える。
「仕方ねェな。……今日だけだぞ」
軽々とおれの体を揺すり上げて、エースの歩調はぐらつきもしない。
「うん。……今日だけな」
夢を見ていた。
黒い帆の海賊船、大事な仲間達。
そして近づく敵船には、鮮やかなオレンジ色の──
「……次はおれがエースを背負ってやるよ」
「生意気ぬかせ」
明日、エースは海に出る。
☆☆
チャコさんへ。
Happy Birthday!
いつもいつも、よくしてくださってありがとう。大好きだ!
昨年タイミング外してお祝いし損ねたので、さりげなーく「どんなエール読みたいですかー」とかリクエストして事前準備!
そんなわけで、15歳と17歳の「おんぶエール」です。うっかり年齢差を2歳にしちゃいましたが、誕生日のズレと思ってください。別に14と17でもいいんだけどね(笑)
(メモ)
拍手ありがとうございました。