もも(都々逸10)

何だか寒ィ、と訴えると、サンジは夜食の皿を一旦床に置き、おれの額に手を当ててから、腕組みした。

「熱はねェみたいだな。……晩メシのサクラを食い過ぎたせいじゃねェか?」

「サクラ?」

「馬肉だよ、あれは身体を冷やすからな。お前、一頭分くらい一人で食ってただろ」

ふーん、あれは馬の肉だったのか。道理でウマかった。

真夜中の見張り台に吹く冷たい風は、冬島が近い証拠だ。

その島にも、雪が降っているんだろうか。

サンジとふたりで、ナミを背負って走ったあの島のように。

「……そうだ、酒でも呑むか?いい梅酒が、」

ぽんとサンジが手を叩く。

「いらね。酒呑むと寝ちまう」

「……だよな、お前は。じゃあ、毛布でも持ってきて……」

最後まで聞かずに、サンジの足を掬った。

油断していたおれのコックは、みごとにすっ転ぶ。

「ちょ、おい!何しやがる、ルフィ!」

うるせェ、ニブちんサンジ。

わめくサンジの身体を無理矢理座り込ませて、足の間に腰を下ろし、胸に寄りかかった。

「……おい」

困惑しきった声が、頭の上から聞こえてくる。

「何がしたいんだ、おまえは……」

言ったろ、サンジ。おれは寒いんだ。

あの雪山を登った時と同じくらいに。

〈梅もきらいよ桜もいやよ ももとももとの間が良い〉

☆☆

えろいお題こそ、えろくなく書くのが私のジャスティス(笑)

(メモ)

拍手ありがとうございました。