ヒッポカンパス

指をぱちりと鳴らすと、周囲は青一色に包まれた。

能力者を誘うことも溺れさせることもない幻影の海に、無数の魚達の横腹が銀色に閃く。

「……ま、今日の舞台設定はこんなもんか」

ようこそ、ここは「ヒッポカンパス」。

劇場であり遊園地でありレストランであり、お望みならばホテルにもなる。

たった一人のお客のために。

「舞台衣装は……今日も、これでよさそうだな」

金色の髪、青い目をした若い男。役どころは、「女好きのコック」。

以前は赤い髪だの、黒髪のそばかすだのにもなったが、最近のお客の好みはもっぱらこれだ。

おれの仕事は、お客の望むままに振る舞い、望む言葉を囁き、楽しませる道化師。

さあ、そろそろ開幕だ。

たった一人のおれの客が、おれに逢いにやってくる。

ようこそ、「ヒッポカンパス」へ、──ルフィ。

あっちのおれには、まだできないことをしてやるよ。

☆☆☆

ヒッポカンパス=「海馬」

先日リンクしていただいた「裏通り宝石店」の珠妃さまから、リンク記念にテキストをいただいてしまったのですよ…!

なんというラッキー。

というわけで、本日「おたからぶん」に、「夢のつづき」を更新させていただきました。

ありがとうございます珠妃さま!!

なんていうのか、サンジさんとルフィの距離感がすげーツボです!!

……で、その作品を読み、なおかつ「裏通り宝石店」さまの作品を読み漁っている身のささやかなリスペクトとして、上記ネタを書いてみました。

サンルでもシャンルでもエールでもなくてすいません。あえて言えば…インキュバス×ルフィ?

だってだって、珠妃さまの書かれる夢サンジは(あ、もちろんナマもだけど)すげーかっこいいんだもん…!!

というわけで、拙いものではありますが、珠妃さまに捧げさせていただきます。