背負う
クソジジイに言われたことがある。
──チビナス、なんでてめェはコックになりたいんだ?
あのとき、おれはなんと答えただろう。
「もう、ちょっとルフィ!起きなさい!」
「どうかしましたか、ナミさん?」
「あァ、サンジ君。ルフィったら、みかん畑で寝ちゃってるのよ」
「それはいけませんね。風邪なんざ引きゃしないでしょうが、お邪魔でしょう?」
「そうねェ。サンジ君、部屋に連れてってくれる?」
「仰せのままに、レディ」
ぐんにゃりと背中にもたれる重みと熱。
すべてをおれに預けた、無防備な存在。
……それは別に、今に限った話ではない。
この船に乗る限り、そしてこの船のコックがおれである限り──この船の乗員すべての命は、おれの手にある。
もちろん、このゴム人間も例外ではなく。
──船のコックってものは、その辺の安食堂の鍋をかき回すのとは訳が違う。
──船員の健康と命を背負う覚悟がなきゃ、やってられねェ。
こいつの好きな肉の中に、一垂らしの毒。
それだけで、おれは何の苦労もなく、こいつを殺せる。
……なあ、そんなことを考えたことがあるかい、船長。
きゅっと、首に回された手に力が込められた。
「……サンジ、飯」
明らかに正気ではない、寝ぼけた声。
そんなときにも、こいつはためらいもなく、おれを呼ぶ。
「……晩飯の時間になったらな」
「……おう……」
寝息に吸い込まれるその言葉を、おれはこれからもずっと背負っていくのだ。
☆☆☆
カピバーラさまから奪ってきた2枚目!
ハンパない密着度がうれしいサンルおんぶ!
いつもありがとうございます、カピバーラさん!上記小ネタ、捧げさせてください!
考えてみれば旅行からずっと休みなし、しかも精神的ショック連打とかいろいろあって、どーも疲れているっぽいです。
朝アニワン観た後三時まで寝てたのに、まだ眠い…。
そんなときに拍手は心に染み入ります。ありがとうございました!