家賃格安、少々難あり

海辺の町に赴任することになったのは、どうしても合わない上司を殴ったせいだった。

別に後悔はしていない。後悔することがあるとすれば、もっと早くにやればよかった、というだけだ。

荷物は小さな鞄一つ。

家族もない、身軽な生活。

住む場所など、雨露さえしのげればかまわない。

不動産屋で出された物件の家賃は、田舎にしても安すぎたが、高いよりはよかろう。

「あなたのような方にはきっとお気に召しますよ、スモーカーさん」

引きつったような顔で笑う不動産屋の言葉を聞き流し、古びてはいるが思ったよりも立派な一軒家に荷物を下ろしたのが、今日の夕刻。

朝からの強行軍に疲れた体をリビングの椅子に沈めた、さてそのあとは記憶がない。

──ここは、今日借りたばかりのおれの家で。

──誰もここにはいないはず、なのに。

「よう。あんたが新しい家主かい?」

目の前に立つ、この若者は誰だろう。

濡れたような黒髪、そばかすの目立つ目鼻立ち。

「泥棒……か?」

「失敬な」

オレンジ色の帽子を深く被り直して、青年は歯を見せて笑った。

「おれは、ここんちの妖精さ。……今日からあんたの世話をしてやるからよろしくな、ご主人」

☆☆☆

スモーカーさん、ハピバ。

誕生日小ネタを何にしようか迷ったあげく、サンタルフィの番外編だったり(笑)

ちなみにエースモなのかスモエーなのかは決めてません。

明日春コミだっちゅーのに、支度もせずドラゴンボールを観に来ています(笑)

あんだけ前評判悪ければ、却って気楽。