ネタバレ気味

──なあ、お前ならどうする、エース?

そう聞いたのは、あの赤い髪のおっさんだった。

カウンターにもたれて眠ってしまったルフィを担ぎ上げて、帰ろうとした時だと覚えている。

「まったくお前はいい兄貴だな、エース」

グラスを片手にした、海賊船の長。

「ルフィのお守りばっかりで、イヤにならないか?」

兄貴が弟を守るのは当然だ、と答えた気がする。

「守る?何から?」

血の色をした髪の下、海風に焼けた顔は、ひどく凶暴に笑う。

「敵か?苦痛か?困難か?それとも恐怖か?」

全てだ。その全てだ!

……ヤツは、グラスを置いた。

「なあ、エース。例えば──例えばだ。お前とルフィが、怪物に襲われたとする。お前の力では、逆立ちしても倒せない。お前が食われれば、次にはルフィが生きながら引き裂かれる」

傷の奥の、底知れない瞳。

「お前ならどうする、エース?……弟の前に立ちはだかって先に食われるか、それとも──せめてその前に、弟を楽にしてやるか?」

……あの時おれは、何と答えただろう。

やがてこの首は、「世界政府」という怪物のあぎとに消える。

そして世界は、混乱と嵐の時代を迎える。

小さな海賊団など、わけなく呑み込む波が荒れ狂う。

「……来るな、ルフィ」

今のおれには、お前を殺してやることすらできない。

☆☆

某所で超萌える兄弟ネタ(※他ジャンル)を拝見し、「あああエールでこれやりたい!」と思った結果→エロ分みごと消滅。

実はシャンクス・エース・ルフィがフーシャに揃ったことはないかもですが、ンマーお約束なのでお許しを。