花軍(ゾロ雪姫4)
「おめーらのどっちか?」
「そうですわ」
「おうよ」
ゾロ雪姫さまとサンチューさまに左右から迫られたルブーは、眉が段違いになるほど困惑しておりました。
無理もありません。
いずれアヤメかカキツバタ、兄なりがたく弟なりがたし。
ウミウシとナマコのどちらがより美しいか、決めることのできるものがこの世にいるでしょうか。
「……どっちでもいいんじゃねェか?」
「それじゃすまねェんだよ!」
「その通りですわ」
妍を競う美姫たちの様子に、お前らそんだけ気が合うなら喧嘩すんなよ、と思いつつ、ルブーは退却のタイミングをはかるよりありませんでした。
このぶんでは、どちらを選んでもロクなことにならないのは、火を見るより明らかです。
「いいかルブー。よく考えろよ、このおれの黄金の光のような髪と、カビコロネが比較になるか?」
「ねえルブー、やっぱり水の中でドザエモンみたいな生活って、いろいろ損なわれると思うのよ。若さとか美しさとか性格とか」
「……誰がドザエモンだ、カビコロネ」
「光とは笑わせますわね、トウモロコシ」
……今なら逃げてもバレないかな、と判断し、ルブーはそろりと後ろ足の蹄を引きました。
しかし次の一歩を引くより早く、ゾロ雪姫さまの緑の宝石のような眼と、サンチューさまの青い海のような眼が、ギロリ!とばかりにルブーを睨み据えます。
「──さァ、ルブー」
「どちらか、選んでくださいますわね……?」
(続く、かも)
8/11、8/17、9/2に過去分あり。
・描写がくどい
・文体が長ったらしい
・固有名詞が長い
・この日記に書ける文字数が少ない
そんなこんなで話の進みが遅いです、すんません。
(メモ1)
わざわざメッセージいただき、ありがとうございました。
(メモ2)
拍手いただき、ありがとうございます!
気候の変動の激しい季節、どうぞお風邪など召されませんように。