前世の因縁
もしもいわゆる前世の因縁とやらが真実だと仮定するなら、自分の前世はよほどの悪逆非道をなしたのだろう。
──考えてもみろ、世の中には麗しいレディが星の数ほどいて、各々数え切れない美点を有している。
彼女たちを讃えるための語彙なら、いくらでも紡ぎ出す自信はある。
だがどうだ、現実におれの前にいるのは、やわらかさもかぐわしさもかわいらしさもない、胸もなきゃ尻もくびれもない、恋だの愛だのにかけらほどの興味もない──オトコだ。
さらに問題なのは、それでもおれはコイツを、絶対口説き落とさなければならないこと。
なぜなら、コイツがおれのものにならないなら、おれは多分正気ではいられないからだ。
「どうした、サンジ?」
開けっぴろげな笑顔と、まっすぐな瞳。
難攻不落の砦に向かい、おれは進軍を開始した。
☆☆☆
そういえばあんまり書いたことないな、と口説きサンジさん。