視線(サンル)
「……お忙しいところ申し訳ありませんが、船長。聞いていいですか?」
「あー?なんだ?」
「……おまえ……なにやってんだ?」
暫く、慌ただしい航海が続いていた。
グランドラインで平穏など求めようもないが、十代後半のヤリたい盛りな恋人たちが、キスするチャンスすら作れない状況というのは、さすがに常軌を逸している。
ようやく訪れたおだやかな夜、邪魔者もない真夜中のキッチン。
──しかし、肝心のおれの恋人の方は。
「面白ェーだろ、これ、ウソップに分けてもらった!」
ルフィが手にしているのは、いくつもの丸いシール。
半透明なドームの中に丸い形が閉じこめられ、外からの振動を受けて動く。おもちゃの目などに使う、いわゆる動眼というやつだ。
「ほら、こうやって二つ並べて貼ると、顔に見えるぞ!」
ぺたぺたと、ルフィはイスやテーブルやおれのタバコを顔に変える。
黒い目、赤い目、緑の目。感情のない幾対もの目が、ほとんど全裸のおれとルフィを見つめている。
──うん、まあ、面白くないことはない。
しかし、数日ぶりの恋人同士の時間には、他にもっとやるべきことがあるのではなかろうか。
「こことか(ペタリ)」
「!?……おいこら!」
「あ、なんかみの虫みてェ。……ここも金色なんだな」
「……何を今更。初めて見る訳じゃねェだろ」
「んー、けどあんまりじっくり見たことねェし」
「……どうせなら、もう少し下の方を構ってくれよ」
「そっちはあんまり可愛くねェからなあ……」
可愛くてたまるか。
──いや、そんなこと言ってる場合じゃねェ。
この機を逃すわけにはいかない。
「そうか?……じっくり見たことねェんだろ?なんでわかる?」
「なんで、って。……」
「──なあ、なんで?」
見る間に赤くなる耳たぶをついばみながら、ゴムの足首をつかむ。
……さて、選手交代といかせていただきましょうか、船長?
☆☆
過日、わが心の白百合さま(仮名)に、「サンル的に、サンジの下は何色ですか」と聞かれました。
答えに困ったので、つい先ほど、某所サンルチャットに参加して聞いてみたら、いつのまにかこんな話になってたよ、と。
イカさん、付き合ってくれてありがとうございました(笑)
で、結論は金色でいいのかなあ…(悩)
(メモ)
拍手ありがとうございました。
王兄殿下がお気に召したなら幸いですが、たぶん違う予感(笑)