思い草(板前親分)
「思い草、っていうんだ」
「オモイグサ?」
「うん、ほら。──頭を垂れて、考え事をしてる人みたいだろ?」
青い鼻した名医の蹄が、紫色の花をぷちりと摘んだ。
「消炎の薬になるんだ。親分も、見つけたら採ってくれ。ススキの下とかに生えてるから」
「……変なとこに咲くんだな」
「うん。思い草は、ひとりじゃ生きられない。──ススキと一緒じゃないと、咲けないんだ」
(おれはおまえのために生きるよ)
(……そう甘く囁いて、にやりと笑った男の口元に咲く、煙を吐く花)
嘘ばっかりだ。
たとえおれが明日、お役目で死んだとしても、おまえは笑いながら女を口説き、美味いメシを作り続けるだろう。
……それでいいんだ。
そう思いながらもおれの手は、ススキの下に群れて咲く、紫色のキセルの束を、まだ折ることができずにいる。
☆☆
秋になるとなぜか親分が書きたい。
思い草=ナンバンギセル(ススキの寄生植物)ネタは、去年の秋から書きそびれていたネタ。
さて、本日は久々に大更新。
YOUさん、猪瑠茄さん、蛙太郎さんからいただいた作品をおたから部屋に収納、「666より777」さまをリンクにお迎え、その他アドレスやサイト内容説明に手を入れました。ついでにトップの企画類を整理、サンルオフ会バナーも貼り替えました。
とゆーわけで、上記は一応、親分絵をくださったYOUさんに捧げるつもりですが、こんなんでよいでしょうか…!本当にいつもありがとです!らぶ!
他のお宝についても、順次お礼を述べさせていただきたい所存ですが、まずはまとめてありがとう!
あとみつぐさんは今後ともよろしくです。
(メモ)
拍手ありがとうございました。