夜想曲
「ごきげんよう、ヴァイオリニストさん」
見張り台から声をかけると、甲板に佇む音楽家は、ゆるやかに私を見上げてきた。
「──あァ、ロビンさん。見張り番ですか?お疲れさまです」
どこで対象を視認しているのか定かではない虚ろの眼窩は、そのまま高く天に向けられる。
「いい、月ですね。……眠るのが惜しいような夜だ」
「……そうね」
この船に迎えられた一番新しいクルーは、恐らくはとても強い精神の持ち主なのだろうと、私は思っている。
誰もいない海で、50年近い歳月を過ごし、なおかつほとんど精神の歪みを見せない男。
──彼と同じ海で生まれ、同じく孤独にさいなまれたひとりの子どもが歪みきるまでには、20年もかからなかったというのに。
それでもきっと、この男にも、眠るのが恐ろしい夜はあるのだろう。
……あの子どももそうだった。深い眠りは恐怖だった。裏切りの悪夢、亡者の悪夢、孤独の悪夢には、いつまで経っても慣れることはなかった。
あの子がはじめて、深く眠ることを知ったのは、あのとき。
『おれの仲間は誰一人、死んでもやらん!』
青キジの氷に閉ざされて、あの子は──かつての私は──初めて、ここが安心して眠ってよいところなのだと知った。
「よろしかったら、なにか唄いましょうか、ロビンさん?……ロビンさんも西のお生まれですし、故郷の唄でも」
「あら、ありがとう。……みんなが起きない程度の声でお願いするわ」
「そうですね、なら静かな唄を。……ああそう、一つ伺ってよろしいですか?」
「なにかしら?」
取り出したヴァイオリンを構え、弓を弦に乗せて、新入りの音楽家は真剣な口調で言った。
「今日のパンツは、何色ですか?」
☆☆☆
ロビンちゃんハピバ。
とゆーわけで、今年の誕生日小ネタのキーパーソンは「ブルック」でいくことにしました。
孤独がもたらす彼の精神の歪みが、女性下着に関する多大な関心だけならば、軽い方じゃないかなーとか思ったり。
リアル姉の北欧旅行みやげが手元に届けられました。
真っ赤な髪のトロールのぬいぐるみでした。かわいいv
北欧神話にちなんでロキと名付けようかと思ったけど、髪が赤いからシャンクスとつけてもいいかなあ(シャンクスファンの方すまん)。
(メモ)
拍手ありがとうございました。
またおひまがあったらのぞいてください。